問 題
製油所における大気汚染対策に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 沸点の差により分離された原油の各留分は、水素化精製装置で留分と単体の硫黄に分離される。
- 製油所におけるNOx対策として、低NOxバーナーの採用がある。
- 製油所では、種々の副生ガスを可能な限り燃料として使用するため、ばいじんの排出量は少ない。
- 重油脱硫装置では、重油留分から硫黄分などの不純物が除去される。
- 炭化水素が揮発しやすい原油、ガソリン、ナフサなどの貯蔵には、浮屋根タンクを用いる。
正解 (1)
解 説
(1)が誤りです。原油は沸点差によってガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油などの留分に分離されます。これらの留分中には硫黄化合物が含まれているため、水素化精製装置を使って硫黄化合物と水素を反応させ、硫化水素として除去します。
よって、(1)の「単体の硫黄」が誤りで、正しくは「硫化水素」となります。
なお、その後、硫化水素は硫黄回収装置によって単体の硫黄として回収されます(クラウス法)。しかし、問題文にある水素化精製装置の段階では、あくまでも硫化水素として分離されます。
(2)は正しいです。酸素濃度の低下、火炎温度の低下、高温域でのガス滞留時間の減少などの工夫によってNOxを抑制させる低NOxバーナーを採用する例が増えています。
(3)と(4)もともに正しいです。いずれも記述の通りですが、特に重要事項でもないため、これらの選択肢の正誤は判断できなくても構わないと思います。
(5)も正しいです。製油所では原油やガソリン、ナフサといったVOC(揮発性有機化合物)が生じやすい原料を大量に扱います。これらを貯蔵する際に普通のタンクを使用した場合、タンク内が満水状態でない限り、空間にVOCが充満して、そのガスが漏れると大気汚染につながります。
そこで、液面に屋根を浮かせることで、液面と屋根をぴったりと密着させ、ガス化する空間ができないようにしています。このような構造のタンクを浮屋根タンクといいます。
以上から、正解は(1)となります。
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