問 題
排煙脱硫装置(石灰スラリー吸収法)の維持管理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 固形物付着による流路の狭隘(きょうあい)化は、排ガスの通風圧力損失の増大を招く。
- 吸収液のpHが高くなると脱硫率が下がる。
- 酸化反応用空気ノズルは、スケールが成長し閉塞しやすい。
- 空気供給流量の低下は、結晶粒子を含む吸収液の逆流を引き起こす。
- 空気が不足して酸化反応速度が低下すると、亜硫酸塩が残留する。
正解 (2)
解 説
(2)に関して、結論からいえば記述の内容が反対であるという話なのですが、周辺知識も含めて重要事項なので、以下で詳細に解説します。
吸収液のpHは6程度の中性~弱酸性にしておくと、高脱硫率を維持したままスケーリングを防止でき、石こうの純度が高くなります。
吸収液のpHがあまり酸性側に寄り過ぎると、CaCO3スラリーがSO2を吸収してCaSO3・1/2H2Oとなる以下の反応が進行しづらく、脱硫率が低下します。
一方、塩基性側に寄るほど脱硫率は上がるものの、CaSO3・1/2H2Oの溶解度が下がって析出してしまうため、スケールが発生しやすくなります。そのため、過剰の吸収剤が必要となり、石こうの純度が低下します。
これらの兼ね合いを考えると、ちょうど良いpHは大体6程度となります。
ここで話を本問の(2)に戻すと、問われているのは「脱硫率」の話であり、「石こうの純度」は関係ありません。
よって、(2)の「吸収液のpHが高くなると脱硫率が下がる」が誤りで、正しくは「吸収液のpHが低くなると脱硫率が下がる」または「吸収液のpHが高くなると脱硫率が上がる」となります。
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