R5年 大気概論 問9 問題と解説

 問 題     

窒素酸化物(NOx)の発生源と発生量に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 化石燃料の高温燃焼に伴って発生する主要な窒素酸化物は、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)であり、一般に両者を併せてNOxと呼ばれている。
  2. NOxはカドミウム、鉛、ふっ素などとともに有害物質の一つに指定されている。
  3. 環境基準はNO2について定められている。
  4. ボイラーなどの燃焼装置では、燃焼ガスの排出時点でのNO/NO2は体積比でおよそ80%である。
  5. 業種別のNOx排出量(平成29年度実績)は、電気業 > 窯業・土石製品製造業 > 鉄鋼業の順になっている。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(1)は正しいです。NOxはあらゆる窒素酸化物の総称ですが、大気汚染物質として問題となるのはほぼ一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)なので、これら2つを併せてNOxと呼ぶことが多いです。

(2)も正しいです。有害物質として定められているのは、以下の5物質です。

  • カドミウム及びその化合物
  • 塩素及び塩化水素
  • ふっ素、ふっ化水素及びふっ化珪素
  • 鉛及びその化合物
  • 窒素酸化物

(3)も正しいです。環境基準はNOxではなくNO2について定められています。蛇足ですが、硫黄のほうも同様に、SOxではなくSO2について環境基準が設定されています。

(4)が誤りです。燃焼装置の燃焼ガスに含まれるNOxは、そのほとんど(9割以上)が排出時点ではNOの形をしています。その後、大気中のオゾンなどと反応してNO2になる上、NO2のほうが毒性が高いので、環境基準としては(3)の通りNO2で設定されています。

よって、(4)の「およそ80%」が誤りで、正しくは「90%以上」などのようになります。

(5)は正しいです。前問(問8)の解説にも示しましたが、業種別のNOx排出量の上位3位は次の通りです。

  1. 電気業:32%
  2. 窯業・土石製品製造業:15%
  3. 鉄鋼業:12%

以上から、正解は(4)となります。

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