問 題
大規模食料品製造工場からの排水処理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ビール工場において活性汚泥法の前段にUASBを導入し、二段処理を行っている例がある。
- COD総量規制対象地域にあるビール工場で下水道放流する場合には、凝集沈殿+砂ろ過+活性炭吸着の高度処理フローを追加する必要がある。
- UASBを導入したビール工場で、生成したメタンガスを用いて発電をする例がある。
- 清涼飲料水工場からの排水中の有機物のほとんどは糖質と有機酸である。
- 清涼飲料水工場の総合排水は水質変動が大きいため、滞留時間が長い処理方式がとられることがある。
正解 (2)
解 説
(1)は正しいです。ビール工場の排水にはCODなどが大量に含まれているため、活性汚泥法(好気処理)単独処理にすると酸素(≒曝気動力)もたくさん使う上、余剰汚泥も多く発生してしまいます。そのため、UASBを前段に入れて大雑把にCODを除去するという二段処理が広く採用されています。
(2)が誤りです。COD総量規制対象地域にあるビール工場で(下水道放流ではなく)湾などに直接放流する場合には、総量規制に対応する必要があるので、「UASB法+活性汚泥法」に加えて、高度処理フローを追加する必要があります。この高度処理フローが、「凝集沈殿+砂ろ過+活性炭吸着」です。
(2)には「下水道放流する場合」とありますが、下水道に放流するなら、下水道でさらにCODを低減する処理を行うので、総量規制をして厳しく取り締まる必要もありません。総量規制の対象となるのは、湾などの閉鎖性海域に直接放流する場合です。
よって、(2)の「下水道放流」が誤りで、たとえば「海域放流」などに変えると正しい文章となります。
(3)は正しいです。記述の通り、UASBの工程で発生したバイオメタンガスを使って発電をする取組が行われています。
(4)も正しいです。清涼飲料水工場からの排水中には糖質や有機酸などの有機物が多く含まれています。よって、排水の処理対象物質は主にBODです。
(5)も正しいです。清涼飲料水工場からの総合排水は水質変動が大きいため、滞留時間が長く、負荷変動を緩和することができるラグーン方式を採用することが多いです。
以上から、正解は(2)となります。
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