問 題
製鉄所の熱間圧延工程の排水処理に関する記述として、不適切なものはどれか。
- 直接冷却系と間接冷却系の排水は別系統で処理し、それぞれの使用箇所に循環使用するのが一般的である。
- 直接冷却水中の汚濁物質は、製品表面に生成されるスケールや油脂類などである。
- 直接冷却水中の油分(n-ヘキサン抽出物質)は蒸気ストリッピングによって処理する。
- 熱間圧延工程で循環使用する間接冷却水の排出水は、基本的には温度上昇のみで水質の悪化はないので、冷却塔による水温低下処理を行う。
- 仕上圧延で発生するスケールは、スケールピット及び沈殿槽を通した後に、ろ過により処理する。
正解 (3)
解 説
(1)は正しいです。直接冷却水は鉄を含む原料に直接触れているため、汚れが著しいです。一方、間接冷却水は冷却塔での熱交換をしているだけなので、水温が変わるだけで汚れることは少ないです。よって、これらは別系統で処理し、それぞれの使用箇所に循環使用するのが一般的です。
(2)も正しいです。直接冷却水中の汚濁物質は、製品表面に生成されるスケールや油脂類などです。そのため、直接冷却水における処理対象は、酸化鉄のスケールのSS、潤滑油や圧延油のノルマルヘキサン抽出物質、水温となります。
(3)が誤りです。蒸気ストリッピングによって処理するのは、「直接冷却水中の油分(n-ヘキサン抽出物質)」ではなく「廃安水に含まれるアンモニア」です。油分(n-ヘキサン抽出物質)の処理は、スケールピットと沈殿槽を通して沈殿分離した後、ろ過により処理します。
(4)は正しいです。間接冷却水の排出水は、基本的には温度上昇のみで水質の悪化はないので、冷却塔による水温低下処理を行います。なお、場合によっては、循環水の一部を砂ろ過することにより循環水中のSSを管理しています。
(5)も正しいです。ややマイナーな知識ですが、直接冷却排水中に含まれる酸化鉄のミルスケールは、(3)の油分(n-ヘキサン抽出物質)と同様、スケールピットと沈殿槽を通して沈殿分離した後、ろ過により処理します。
以上から、正解は(3)となります。
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