R5年 水質有害物質特論 問8 問題と解説

 問 題     

有害物質処理技術に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 有機塩素系化合物の処理方法には、過マンガン酸塩を用いて酸化分解する方法がある。
  2. 鉛排水を水酸化物法で処理する場合、pHは11以上とする。
  3. セレン(Ⅳ)はセレン(Ⅵ)より、水酸化鉄(Ⅲ)による共沈処理は容易である。
  4. 有機りん排水は、生石灰などでpH調整して加水分解処理し、凝集沈殿後、ろ過処理して希釈し、活性汚泥法で処理することができる。
  5. 煮詰法は、シアン排水の物理化学的処理方法の一つである。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(1)は正しいです。トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどの有機塩素化合物の排水処理方法は、主に以下の4つです。

  • 揮散法
  • 活性炭吸着法
  • 酸化分解法
  • 生物分解法

(2)が誤りです。鉛は両性金属なので、酸性条件で溶けるのはもちろんのこと、アルカリ性条件でも水に溶けます。つまり、pH11だと再溶解してしまうので処理できません。

鉛の場合はpH7くらいまでは陽イオン(Pb2+)として水に溶けていて、pH9くらいからは陰イオン(HPbO2)として再溶解するため、その間のpH8あたりが水に溶けにくい最適pHといえます。

(3)は正しいです。溶解性セレンにはセレン(Ⅳ)とセレン(Ⅵ)の2種類がありますが、このうちセレン(Ⅵ)は特に処理が難しいです。たとえば「活性アルミナによる吸着法」や(3)にある「共沈法」は、セレン(Ⅳ)には有効ですが、セレン(Ⅵ)には効果が期待できません。

(4)も正しいです。有機りんは酸性なので、アルカリ性のものを使えば加水分解できます。そのため、有機りん排水は、酸化カルシウムなどの塩基でpH調整して加水分解処理し、凝集沈殿後、ろ過処理して希釈し、活性汚泥処理を行います。

(5)も正しいです。煮詰法は、シアン排水の物理化学的処理方法の一つで、濃厚シアン廃液の処理処分や有価重金属の回収に適しています。煮詰法は出題頻度から見るとマイナーな部類なので、気にしなくてもいいと思います。

以上から、正解は(2)となります。

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