R5年 汚水処理特論 問23 問題と解説

 問 題     

ノルマルヘキサン抽出物質及びその試験に関する記述中、下線を付した箇所のうち、誤っているものはどれか。

ノルマルヘキサン抽出物質とは、試料を(1)pH8以上の弱アルカリ性としヘキサンを加えて混合してヘキサン層に分配する物質を抽出した後、(2)約80℃でヘキサンを揮散させたときに残留する物質をいう。

この試験は、(2)約80℃(3)30分間の乾燥で揮散しない(4)動植物油脂類(5)グリースなどの鉱物油類を対象としているが、炭化水素誘導体、脂肪酸類、エステル類、アミン類、フェノール類、界面活性剤などもヘキサンによって抽出されるため、これらも測定値に含まれる。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

(1)の「pH8以上の弱アルカリ性」が誤りで、正しくは「pH4以下の弱酸性」となります。

ノルマルヘキサン抽出物質は問題文の後半に書かれている通り、水中に含まれる鉱物油や動植物油脂類の量を知るための分析法です。水中の微生物によってこれらの鉱油や油脂類が分解されるのを防ぐために、弱酸性にして微生物の活動を止めます。

もし採取した水をアルカリ性にすると、油脂類は塩基によってけん化されてしまいます。けん化とは、油脂が加水分解されて酸の塩とアルコールを生じる反応です。これでは、測定したい油脂類がノルマルヘキサン抽出物質ではない化合物に変化してしまうので、測定に誤差が生じます。

よって、正解は(1)です。

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