問 題
硝化脱窒素法における硝化工程に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 好気条件下でアンモニア態窒素を微生物処理により亜硝酸態あるいは硝酸態窒素まで酸化する工程のことである。
- 関与する微生物は、アンモニア態窒素や亜硝酸態窒素の酸化によりエネルギーを獲得し、有機化合物を利用して増殖する従属栄養細菌である。
- 関与する微生物として、アンモニア態窒素の酸化を担うNitrosomonas sp.や亜硝酸態窒素の酸化を担うNitrobacter sp.が知られている。
- アンモニア態窒素を硝酸態窒素に酸化する際は次式に従うことから、窒素1g当りおよそ4.6gの酸素を必要とする。
- アンモニア態窒素を亜硝酸態窒素に酸化する際にはH+が生成されるので、pHの過剰な低下を防ぐため、アルカリの添加が必要となる場合がある。
正解 (2)
解 説
(1)は正しいです。記述の通り、好気条件下でアンモニア態窒素を微生物処理により亜硝酸態あるいは硝酸態窒素まで酸化する工程が、硝化工程です。ちなみに、通性嫌気性細菌によって亜硝酸態や硝酸態窒素を窒素ガスに変える工程が、脱窒素工程です。
(2)が誤りです。硝化工程に関与する微生物は、アンモニア態窒素や亜硝酸態窒素の酸化によりエネルギーを獲得し、無機炭素化合物を利用して増殖する独立栄養細菌です。
よって、(2)の後半の「有機化合物を利用して増殖する従属栄養細菌」が誤りで、正しくは「無機炭素化合物を利用して増殖する独立栄養細菌」となります。
(3)は、ややマイナーな知識なのでスルーしても構わないと思いますが、これも正しい記述です。
(4)も正しいです。示された化学反応式の通り、N1つに対してOを4つ(2×2)消費します。NとOの原子量はそれぞれ14、16なので、次のような計算によって確かめられます。
(5)も正しいです。アンモニア態窒素を亜硝酸態窒素に酸化する化学反応式は以下で表されます。ここから、H+が生成されることがわかります。
以上から、正解は(2)となります。
なお、硝化脱窒素法における硝化工程・脱窒素工程の全体の流れを理解しておきたい場合は、R3年 問16の解説が参考になると思います。併せて確認しておいてください。
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