R5年 水質概論 問7 問題と解説

 問 題     

大腸菌数に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 大腸菌数は、大腸菌群数に比べ、より的確なふん便汚染の指標である。
  2. 水質環境基準の生活環境項目で、大腸菌群数に加えて、新たに大腸菌数が追加された。
  3. 水環境中において、大腸菌群が多く検出されていても、大腸菌が検出されない場合があった。
  4. 大腸菌数に用いられる単位のCFUは、Colony Forming Unitの略である。
  5. 自然環境保全を利用目的とする場合の水質環境基準値は、20CFU/100mL以下である。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(1)は正しいです。昔は大腸菌のみを簡便に検出する技術がなかったので、仕方なく大腸菌群をまとめて測定していました。この場合、ふん便由来の大腸菌だけではなく、水や土壌などに分布する自然由来の細菌も含んだ測定結果になってしまいます。

しかし、近年は大腸菌のみを簡便かつ正確に検出できるようになったので、より的確なふん便汚染の状況が把握できるようになりました。

(2)が誤りです。(1)の解説の通り、本当は大腸菌数が知りたいけれど仕方なく大腸菌群数を調べていたという経緯があります。そのため、令和4年(2022年)に水質環境基準の生活環境項目から「大腸菌群数」を削除して、その代わりに「大腸菌数」を追加しました。

よって、(2)の「大腸菌群数に加えて」が誤りで、正しくは「大腸菌群数を削除し」のようになります。

(3)は正しいです。大腸菌群数は「大腸菌やその他諸々」を合わせた数なので、大腸菌群数が多くても大腸菌がいないという場合もあり得ます。

(4)も正しいです。CFUはColony Forming Unitの略で、実質、[個]と同等の意味を持ちます。というのも、細菌は小さすぎてそのままでは数を数えられないので、以下のような方法で数を数えるからです。

  1. まずは細菌を培地内に広げ(個々の細菌が離れるように)、その培地の上で一定時間培養します。
  2. 培養後は、培地の上で菌が繁殖し、菌1つに対して、1つのコロニーができています。
  3. そのコロニーの数を数えれば、もともといた細菌の個数がわかります。

よって、[個]と[CFU]は同じような意味合いを持っています。

(5)も正しいですが、ここまで詳しい知識は覚えなくても大丈夫だと思います。今回は直近で法改正があったため、このような選択肢が用意されたものと推測します。本問では(2)が明らかに誤りなので、(5)が判断できなくても得点には影響しません。

以上から、正解は(2)となります。

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