問 題
煙突から排出される煙の上昇、及び上昇高さの計算式に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ダウンウォッシュを起こさずに大気中に排出された煙は、運動量と浮力の効果で上昇しながら、風に流されつつ拡散する。
- 大容量火力発電所から排出された煙は、風下距離1~2kmまで上昇し続けることが、観測により確認されている。
- モーゼスとカーソンの式及びコンカウの式では、大気安定度の影響が考慮されている。
- ボサンケらの式は、式の煩雑さの反面、精度がよくないことが知られている。
- 無風時を対象としたブリッグスの式では、大気の温位勾配に応じて上昇高さが変化する。
正解 (3)
解 説
この設問は、モーゼスとカーソンの式、コンカウの式、ボサンケらの式、ブリッグスの式の内容を詳細に知らないと正解するのが難しい問題です。一方、出題頻度から見れば、これらの式の構成や変数を具体的に覚えておくメリットは小さいと感じます。
そのため、個人的には、この問題は捨て問題にしてしまっても仕方ないと思います。ただし、(1)と(2)は基本的な内容なので、運任せにするとしても(3)~(5)の3択のいずれかを選びたいところです。
一応正解を示すと、(3)の記述が誤りです。結論からいえば、モーゼスとカーソンの式は大気安定度の影響が考慮されていますが、コンカウの式では考慮されません。
モーゼスとカーソンの式は割と頻出なので知っておいて損がない式ですが、こちらは大気安定度の影響が考慮されるので、この式を知っていても(3)の記述が誤りだと判断できないあたり、難易度の高い設問だと感じます。
「モーゼスとカーソンの式」
- ΔH:煙突排ガスの上昇高さ [m]
- C1、C2:大気安定度によって変わる定数
- vg:排ガスの吐出速度 [m/s]
- D:煙突出口径 [m]
- QH:排出熱量 [W]
- u:風速 [m/s]
「コンカウの式」
- ΔH:煙突排ガスの上昇高さ [m]
- QH:排出熱量 [W]
- u:風速 [m/s]
上式より、コンカウの式では大気安定度の影響が考慮されないので、(3)が誤りだと判断できます。よって、正解は(3)です。
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