問 題
安定度が中立の大気境界層に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 風速がきわめて弱いとき、通常は中立境界層は出現しない。
- 風速が強くなるにつれて、多くの場合に中立境界層が出現する。
- 中立境界層では、風速勾配によって乱流が作り出される。
- 中立境界層の厚さは、一般に数百m以下である。
- 中立境界層の気温減率は、おおむね乾燥断熱減率に近い。
正解 (1)
解 説
平坦地上に形成される境界層を熱的に大別すると、混合層、接地安定層、中立境界層の3つに分けることができます。
今回はこのうち中立境界層だけが問われていますが、試験対策としては3つ全てを押さえておく必要があります。それぞれの層が形成される条件を以下にまとめるので、ぜひ覚えておいてください。
混合層とは、日射によって空気が暖められて、その熱対流によって大気が混合されるような大気境界層のことです。よって、陽が出ていることがポイントになるので、晴れた昼間に発達します(ピークは午後2~3時)。混合層は普通、地上1km以下くらいのところに形成されます。
混合層が晴れた昼間にできるのに対し、接地安定層は晴れた夜に発達する層です。晴天の夜間は放射冷却によって地表面が冷たく、上層が暖かくなります。すると温度逆転が起こることになるので、その大気は安定するため、接地安定層と呼ばれます。これは大体地上200m以下程度のところに境界層ができます。
残る中立境界層は、曇りの日や風の強い日に形成されやすいです。混合層が熱の勾配による自由対流であるのに対し、中立境界層は風速勾配による強制対流となるのが特徴的です。中立境界層の厚さは、一般的には大体数百m以下となります。
以上を踏まえると、選択肢(1)に関して、中立境界層は出現するのは曇りの日や風の強い日です。よって、風速がきわめて弱い日であっても、天気が曇りであれば中立境界層が出現しやすいので、これが誤りであると判断することができます。
よって、正解は(1)です。
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