R3年 水質有害物質特論 問9 問題と解説

 問 題     

図はアルカリ塩素法-紺青処理によるシアン排水処理フローである。添加薬品である(A)、(B)、(C)の組合せとして、最適なものはどれか。

  •  A    B      C
  1. NaOCl  H2SO4  FeSO4・7H2O
  2. NaOCl  NaOH   FeSO4・7H2O
  3. NaOCl  H2SO4  Al2(SO4)3
  4. Cl2     NaOH   Al2(SO4)3
  5. Cl2     H2SO4  Al2(SO4)3

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

問題にある図は「アルカリ塩素法-紺青処理」によるシアン排水処理のフローです。

アルカリ塩素法は有用なシアン排水の処理方法で、遊離シアンのほか、銅や亜鉛のシアノ錯体も処理可能です。しかし、鉄や金やニッケル、コバルトのシアノ錯体は処理できません(ニッケルは少し処理できますが、得意ではありません)。これらの処理には紺青法などほかの処理方法を選ぶ必要があります。

よって、上図では前段にアルカリ塩素法を、後段に紺青法を用いる段階的な処理を行っています。

アルカリ塩素法では、pH10以上で塩素剤を添加する一次分解と、pH7~8で塩素剤を添加する二次分解でシアン(CN)を窒素(N2)と二酸化炭素(CO2)に分解します。塩素には通常、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)が用いられます。

よって、図の一次分解と二次分解の両方に入れているのがNaOClのはずなので、(A)には「NaOCl」が入ります。

また、一次分解のところに書かれている「pH調整」というのは、pHを上げるためNaOHがよく使われます。二次分解の際には逆にpHを下げるため、(B)には酸である「H2SO4」が入れるのが適切です。

続いて紺青処理です。これは、2価の鉄塩を添加して難溶性塩を生成して、沈殿除去する方法なので、(C)には「FeSO4・7H2O」が入ります。

以上から、正解は(1)です。

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