ベクトルの概要

ベクトルとは、向きと大きさのある数のことです。

普通の数は大きさしか持たないので、たとえば200円と300円を合わせれば500円になりますが、ベクトル(向き+大きさ)で考えると、北向き200mと東向き300mを合わせても、北東に500mとはなりません。

このように、大きさに加えて向きについても考慮した上で計算しなくてはならないのが、ベクトルの特徴です。

電験三種の試験においては、ベクトルは多くの場合、交流回路の計算問題で使われます。直流回路であれば、2[A]と3[A]の電流を合わせれば5[A]となり、100[W]と200[W]の合計電力は300[W]となります。

一方、交流回路の場合には、電流や電圧は「進み」や「遅れ」といった位相を持ち、また、電力は有効電力や無効電力、皮相電力といった種類があるため、これらを合わせる際にベクトルの考え方が必要になります(これらについての詳細は、理論の重要事項で解説しているので、ここでは深入りしません)。

また、電験三種の試験では、記号の上に「・」が付いている場合、これがベクトルであることを表しています。ほかの参考書などでは記号の上に「→」が書いてあるかもしれませんが、それも同様です。

たとえば、以下のような交流回路では、電源を流れる交流電流は位相を持ったベクトルとして表されるので、電流を表す「I」の上に「・」が付いています。

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