電験三種 R6年度上期 理論 問16 問題と解説

 問 題     

直流電流の測定範囲の拡大について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 直流電流計Ⅰの最大目盛は100A、直流電流計Ⅱの最大目盛は50A、直流電流計Ⅲの最大目盛は50Aである。

この3台の直流電流計を並列に接続し、ある回路に接続したところ、直流電流計Ⅰの指示値は90A、直流電流計Ⅱの指示値は40A、直流電流計Ⅲの指示値は35Aであった。

この接続において計測できる最大電流の値[A]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 100
  2. 144
  3. 165
  4. 183
  5. 200

(b) 次に、直流電流計Ⅰ、直流電流計Ⅱ、直流電流計Ⅲの3台を並列に接続した状態で、別の回路に接続した。この回路を流れる電流の値は150Aであった。

このとき、各電流計が指示した値は、直流電流計Ⅰ=( ア )A、直流電流計Ⅱ=( イ )A、直流電流計Ⅲ=( ウ )Aであった。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる最も近い数値の組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •  (ア)   (イ)   (ウ)
  1. 31.8  36.4  81.8
  2. 31.8  81.8  36.4
  3. 36.4  31.8  81.8
  4. 81.8  31.8  36.4
  5. 81.8  36.4  31.8

 

 

 

 

 

正解 (a)-(4), (b)-(5)

 解 説 (a)   

設問(a)で与えられた条件を図示すると、下図のように描くことができます。

なお、上図では3つのルート合わせて165[A]の電流が流れているので、各電流計に流れる電流の割合はそれぞれ、90/165=54.5%、40/165=24.2%、35/165=21.2%となります。

ここで、現段階では最大電流を流したときに限界を迎えるのが電流計Ⅰ~Ⅲのどれかわかっていません。

仮に電流計Ⅰが限界であると仮定した場合、電流計Ⅰ(図のA)に100[A]が流れることになります。この100[A]が回路全体の54.5%に相当するため、このとき回路全体に流れる電流Itotal(1)[A]は次の(1)式のように計算できます。

同じく、電流計ⅡやⅢが限界である(50[A]流れる)と仮定した場合、回路全体に流れる電流Itotal(2)[A]、電流Itotal(3)[A]は、それぞれ次の(2)式、(3)式のように表すことができます。

以上より、この回路に流せるのは(1)~(3)式の中で最も値の小さい(1)式の183.5[A]であると判断することができます。

というのも、電流計Ⅰには(1)式の条件ですでに限界値の100[A]が流れるので、(2)式や(3)式を採用すると100[A]を超える電流が流れてしまうからです。

よって、選択肢の中で183.5[A]に最も近いものを選べばよいので、正解は(4)となります。

 解 説 (b)   

設問(a)の解説で示した図や文章の通り、電流計Ⅰ、Ⅱ、Ⅲに流れる電流の割合はそれぞれ、54.5%、24.2%、21.2%です。よって、全体の電流が150[A]であれば、各電流は次のように計算することができます。

以上から、正解は(5)となります。

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