電験三種 R6年度上期 理論 問15 問題と解説

 問 題     

図の交流回路において、回路素子は、インダクタンスLのコイル又は静電容量Cのコンデンサである。この回路に正弦波交流電圧v=500sin(1000t)[V]を加えたとき、回路に流れる電流は、i=50cos(1000t)[A]であった。

このとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 回路素子の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. C=10nF
  2. C=100nF
  3. C=10μF
  4. L=10mH
  5. L=100mH

(b) この回路素子に蓄えられるエネルギーの最大値Wmaxの値[J]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、インダクタンスの場合には1/2 Li2の、静電容量の場合には1/2 Cv2のエネルギーが蓄えられるものとする。

  1. 2.5
  2. 6.25
  3. 12.5
  4. 25
  5. 125

 

 

 

 

 

正解 (a)-(4), (b)-(3)

 解 説 (a)   

本問では、この回路素子がコイルかコンデンサかわかっていません。そのため、まずは相電圧・相電流の位相関係からコイルかコンデンサかを判定し、その後、その大きさを求めます。

問題文より、この回路に加わる電圧と電流は次の(1)式、(2)式の通りです。

ここで、(2)式はcosの式になっていますが、(1)式と揃えるためにsinの式に変換します。また、見やすくするために各周波数をω(=1000)[rad/s]とおくと、(2)式は次に示す(3)式のようになります。

よって、(1)式の電圧と(3)式の電流を比べると、電流は電圧よりもπ/2(90°)だけ遅れている形となっていることがわかります。これは、回路素子がコイルを表しています(もしコンデンサなら電流が電圧よりも90°進むはずです)。

これで答えが(4)「L=10mH」か(5)「L=100mH」に絞られました。続いて、(4)と(5)のどちらが正しいかを考えていきます。

この回路には電源とコイルしかないので、コイルのリアクタンスXL[Ω]は、次の(4)式によって求めることができます。

よって、コイルのインダクタンスL[H]は次の(5)式のように算出できます。これが問われている「回路素子の値」となります。

以上から、正解は(4)です。

 解 説 (b)   

設問(b)は設問(a)を間違えると正解できない一方、(a)が解ければとても簡単なサービス問題です。

(a)で回路素子がコイルだとわかっているので、問題文で与えられた式「Wmax=1/2 Li2[J]」を使えば、求めたいエネルギーWmax[J]を計算することができます。

よって、正解は(3)となります。

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