電験三種 R4年度下期 理論 問8 問題と解説

 問 題     

次の文章は、交流における波形率、波高率に関する記述である。波形率とは、実効値の( ア )に対する比(波形率=実効値/( ア ))をいう。

波形率の値は波形によって異なり、正弦波と比較して、三角波のようにとがっていれば、波形率の値は( イ )なり、方形波のように平らであれば、波形率の値は( ウ )なる。

波高率とは、( エ )の実効値に対する比(波高率=( エ )/実効値)をいう。波高率の値は波形によって異なり、正弦波と比較して、三角波のようにとがっていれば、波高率の値は( オ )なり、方形波のように平らであれば、波高率の値は( カ )なる。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(カ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •   (ア)   (イ)   (ウ)   (エ)   (オ)   (カ)
  1. 平均値  大きく  小さく  最大値  大きく  小さく
  2. 最大値  大きく  小さく  平均値  大きく  小さく
  3. 平均値  小さく  大きく  最大値  小さく  大きく
  4. 最大値  小さく  大きく  平均値  小さく  大きく
  5. 最大値  大きく  大きく  平均値  小さく  小さく

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

交流回路の電流や電圧の波形において、平均値に対する実効値の比を波形率といい、実効値に対する最大値の比を波高率といいます。これは重要事項として押さえておきたい知識です。

よって、( ア )には「平均値」が、( エ )には「最大値」が入ります。

続いて、電圧v[V]を例にとって説明すると、正弦波(赤色)、三角波(青色)、方形波(緑色)の波形は次のように表すことができます。なお、電流i[A]の場合もアルファベットがvからiに代わるだけで、全く同じ軌跡となります。

  • 赤色:正弦波
  • 青色:三角波
  • 緑色:方形波
  • Vmax:電圧vの最大値 [V]
  • V:電圧vの実効値 [V]
  • Vave:電圧vの平均値 [V]

上記のうち、最も重要かつ頻出なのは正弦波(赤色)です。正弦波のVmaxV、Vaveの関係式は重要公式として覚えておくことをお勧めします。また、方形波(緑色)の場合は覚えるまでもなく、図からVmax=V=Vaveであることは明らかです。

そして三角波(青色)の場合は、積分値が方形波(四角形)の半分となるので、平均値Vaveは単純にVmaxの半分だとわかります。実効値はややわかりにくいですが、これがわからなくても選択肢から正解を1つに絞ることができるので、特に気にしなくても大丈夫です。

以上の情報を統合すると、正弦波、三角波、方形波のそれぞれの波形率は、(1)式と(2)式から次のようになります。

よって、正弦波と比較して、三角波の波形率は大きく、方形波の波形率は小さくなるので、( イ )には「大きく」が、( ウ )には「小さく」が入ります。

同様に、正弦波、三角波、方形波のそれぞれの波高率は、(1)式と(2)式から次のようになります。

よって、正弦波と比較して、三角波の波高率は大きく、方形波の波高率は小さくなるので、( オ )には「大きく」が、( カ )には「小さく」が入ります。

以上から、

  1. 平均値
  2. 大きく
  3. 小さく
  4. 最大値
  5. 大きく
  6. 小さく

となるので、正解は(1)です。

コメント