問 題
次の文章は、交流における波形率、波高率に関する記述である。波形率とは、実効値の( ア )に対する比(波形率=実効値/( ア ))をいう。
波形率の値は波形によって異なり、正弦波と比較して、三角波のようにとがっていれば、波形率の値は( イ )なり、方形波のように平らであれば、波形率の値は( ウ )なる。
波高率とは、( エ )の実効値に対する比(波高率=( エ )/実効値)をいう。波高率の値は波形によって異なり、正弦波と比較して、三角波のようにとがっていれば、波高率の値は( オ )なり、方形波のように平らであれば、波高率の値は( カ )なる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(カ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (カ)
- 平均値 大きく 小さく 最大値 大きく 小さく
- 最大値 大きく 小さく 平均値 大きく 小さく
- 平均値 小さく 大きく 最大値 小さく 大きく
- 最大値 小さく 大きく 平均値 小さく 大きく
- 最大値 大きく 大きく 平均値 小さく 小さく
解 説
交流回路の電流や電圧の波形において、平均値に対する実効値の比を波形率といい、実効値に対する最大値の比を波高率といいます。これは重要事項として押さえておきたい知識です。
よって、( ア )には「平均値」が、( エ )には「最大値」が入ります。
続いて、電圧v[V]を例にとって説明すると、正弦波(赤色)、三角波(青色)、方形波(緑色)の波形は次のように表すことができます。なお、電流i[A]の場合もアルファベットがvからiに代わるだけで、全く同じ軌跡となります。
- 赤色:正弦波
- 青色:三角波
- 緑色:方形波
- Vmax:電圧vの最大値 [V]
- V:電圧vの実効値 [V]
- Vave:電圧vの平均値 [V]
上記のうち、最も重要かつ頻出なのは正弦波(赤色)です。正弦波のVmax、V、Vaveの関係式は重要公式として覚えておくことをお勧めします。また、方形波(緑色)の場合は覚えるまでもなく、図からVmax=V=Vaveであることは明らかです。
そして三角波(青色)の場合は、積分値が方形波(四角形)の半分となるので、平均値Vaveは単純にVmaxの半分だとわかります。実効値はややわかりにくいですが、これがわからなくても選択肢から正解を1つに絞ることができるので、特に気にしなくても大丈夫です。
以上の情報を統合すると、正弦波、三角波、方形波のそれぞれの波形率は、(1)式と(2)式から次のようになります。
よって、正弦波と比較して、三角波の波形率は大きく、方形波の波形率は小さくなるので、( イ )には「大きく」が、( ウ )には「小さく」が入ります。
同様に、正弦波、三角波、方形波のそれぞれの波高率は、(1)式と(2)式から次のようになります。
よって、正弦波と比較して、三角波の波高率は大きく、方形波の波高率は小さくなるので、( オ )には「大きく」が、( カ )には「小さく」が入ります。
以上から、
- 平均値
- 大きく
- 小さく
- 最大値
- 大きく
- 小さく
となるので、正解は(1)です。
コメント