問 題
次の文章は、三相同期発電機の並行運転に関する記述である。
ある母線に同期発電機Aを接続して運転しているとき、同じ母線に同期発電機Bを並列に接続するには、同期発電機A、Bの( ア )の大きさが等しくそれらの位相が一致していることが必要である。
( ア )の大きさを等しくするにはBの( イ )電流を、位相を一致させるにはBの原動機の( ウ )を調整する。位相が一致しているかどうかの確認には( エ )が用いられる。
並行運転中に両発電機間で( ア )の位相が等しく大きさが異なるとき、両発電機間を( オ )横流が循環する。これは電機子巻線の抵抗損を増加させ、巻線を加熱させる原因となる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- ア イ ウ エ オ
- 起電力 界磁 極数 位相検定器 有効
- 起電力 界磁 回転速度 同期検定器 無効
- 起電力 電機子 極数 位相検定器 無効
- 有効電力 界磁 回転速度 位相検定器 有効
- 有効電力 電機子 極数 同期検定器 無効
解 説
同期発電機が正常に並行運転をおこなうためには、次のような条件が揃わなければなりません。これらは重要事項として押さえておきたい知識です。
- 電圧の大きさと位相が等しい
- 周波数が等しい
- 電圧の相回転方向が一致している
上記を踏まえて、問題文を確認していきます。
( ア )で、これは上記の条件1が当てはまります。よって、選択肢の中では「起電力」を選ぶのが適切だと判断できます。
( イ )で、母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の大きさを等しくするためには、同期発電機Bの界磁電流の大きさを調整します。よって、( イ )には「界磁」が入ります。
( ウ )で、母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の位相を合わせるためには、同期発電機Bの駆動機の回転速度を調整します。よって、( ウ )には「回転速度」が入ります。
( エ )で、母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の位相の一致を検出するために、同期検定器を使用するのが一般的であり、位相が一致したところで母線に並列する遮断器を閉路します。よって、( エ )には「同期検定器」が入ります。
ちなみに、選択肢にある「位相検定器」というものは、その言葉自体が存在しません。
( オ )で、並行運転している両発電機間に起電力の差が生じると、その差を小さくするために無効横流(無効循環電流)が流れます。
この電流は、一方(電圧が高い側)にとっては90°遅れ電流となって界磁を弱め、他方(電圧が低い側)にとっては90°進み電流になり界磁を強めます。そうすることで、両発電機間の誘導起電力の差を小さくするという仕組みです。よって、( オ )には「無効」が入ります。
以上から、( ア )は「起電力」、( イ )は「界磁」、( ウ )は「回転速度」、( エ )は「同期検定器」、( オ )は「無効」となるので、正解は(2)です。
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