電験三種 R4年度上期 法規 問10 問題と解説

 問 題     

過電流継電器(以下「OCR」という。)と真空遮断器(以下「VCB」という。)との連動動作試験を行う。

保護継電器試験機からOCRに動作電流整定タップ3Aの300%(9A)を入力した時点から、VCBが連動して動作するまでの時間を計測する。

保護継電器試験機からの電流は、試験機→OCR→試験機へと流れ、OCRが動作すると、試験機→OCR→VCB(トリップコイルの誘導性リアクタンスは10Ω)→試験機へと流れる(図)。

保護継電器試験機において可変抵抗R[Ω]をタップを切り換えて調整し、可変単巻変圧器を操作して試験電圧V[V]を調整して、電流計が必要な電流値(9A)を示すように設定する(この設定中は、OCRが動作しないようにOCRの動作ロックボタンを押しておく)。

図のOCR内の※で示した接点は、OCRが動作した時に開き、それによりトリップコイルに電流が流れる(VCBは変流器二次電流による引外し方式)。

図のVCBは、コイルに3.0A以上の電流(定格開路制御電流)が流れないと正常に動作しないので、保護継電器試験機の可変抵抗R[Ω]の抵抗値を適正に選択しなければならない。

選択可能な抵抗値[Ω]の中で、VCBが正常に動作することができる最小の抵抗値R[Ω]を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

なお、OCRの内部抵抗、トリップコイルの抵抗及びその他記載のないインピーダンスは無視するものとする。

  1. 2
  2. 5
  3. 10
  4. 15
  5. 20

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

問題の図だと複雑なので、まずはこれを簡単な回路図に描き直します。OCR動作前の条件においては右側のVCBは関係ないので、下図のように表すことができます。

この時点ではっきりしている数値は、電流I=9[A]のみです。また、可変抵抗はR[Ω]なので、試験電圧Vは、オームの法則からV=9R[V]となります。ちなみに、OCR内の十分小さな内部抵抗は無視しています。

続いて、OCR動作後の条件で改めて図示すると、上図にVCBが加わって下図のように描くことができます。このときの電流I’は不明ですが、問題文よりI’≧3.0[A]でなければなりません。また、試験電圧はOCR動作前後で変えていないので、上図と同様にV=9R[V]です。

上図より、この回路は抵抗とコイルが直列に並んでいるため、その合成インピーダンスZは次のようになります。

よって、電流I’が3.0[A]以上となる条件は次式で表すことができます。

これを以下のようにRについて解くことで、最小のRを計算することができます。

以上から、選択肢の中で3.54[Ω]以上のうち最も小さい値である(2)の「5」が正解となります。

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