電験三種 R4年度上期 法規 問9 問題と解説

 問 題     

次の文章は、電気の需給状況が悪化した場合における電気事業法に基づく対応に関する記述である。

電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、会員である小売電気事業者、一般送配電事業者、配電事業者又は特定送配電事業者の電気の需給の状況が悪化し、又は悪化するおそれがある場合において、必要と認めるときは、当該電気の需給の状況を改善するために、電力広域的運営推進機関の( ア )で定めるところにより、( イ )に対し、相互に電気の供給をすることや電気工作物を共有することなどの措置を取るように指示することができる。

また、経済産業大臣は、災害等により電気の安定供給の確保に支障が生じたり、生じるおそれがある場合において、公共の利益を確保するために特に必要があり、かつ適切であると認めるときは( ウ )に対し、電気の供給を他のエリアに行うことなど電気の安定供給の確保を図るために必要な措置をとることを命ずることができる。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして、適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •    ア        イ        ウ
  1. 保安規程      会員     電気事業者
  2. 保安規程      事業者    一般送配電事業者
  3. 送配電等業務指針  特定事業者  特定自家用電気工作物設置者
  4. 業務規程      事業者    特定自家用電気工作物設置者
  5. 業務規程      会員     電気事業者

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

本問は過去に遡っても類題が見られないため、事前にこの範囲をカバーしていた受験者は少ないと思います。しかし、文章をよく読みながら選択肢の用語を照らし合わせていけば、決して難易度の高い問題ではありません。

( ア )について、選択肢には「保安規程」、「送配電等業務指針」、「業務規程」があります。

「保安規程」は、事業用電気工作物(自家用電気工作物など)を設置する場合、その工事、維持、運用に関する保安を確保するために定める規程です。今回は電力広域的運営推進機関(OCCTO)が定める何かの話なので、保安規程は関係ありません。

「送配電等業務指針」と「業務規程」はどちらもOCCTOが策定・運用しているものです。このうち前者は、その名の通り送配電等の業務に関する事項が定められていて、後者はOCCTOの業務全般に関する事項が定められています。

本問の( ア )では、「電気の需給の状況を改善するために」どうするか…という話なので、送配電等に限定されるものではありません。よって、( ア )には「業務規程」を入れるのが適当です。

( イ )について、問題文の冒頭に「電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、会員である小売電気事業者、一般送配電事業者、配電事業者又は特定送配電事業者の~」とあることから、OCCTOが関与できる範ちゅうは会員である事業者のみと推測することができます。

よって、OCCTOは広い意味での「事業者」や「特定事業者」に指示する権限はなく、あくまでOCCTOの「会員」に対してのみ指示することができるので、( イ )には「会員」が入ります。

( ウ )について、( イ )ではOCCTOが指示する対象が問われていましたが、( ウ )では経済産業大臣が命ずる対象が問われています。よって、会員に限定されず、もっと広い範囲を示す言葉が入ると推測できます。

選択肢には「電気事業者」、「一般送配電事業者」、「特定自家用電気工作物設置者」がありますが、結論から言えば、ここには最も広い範囲である「電気事業者」が入ります。

問題文には措置の例として「電気の供給を他のエリアに行うこと」が挙げられていますが、これを行うためには、一般送配電事業者だけでなく、送電事業者や特定送配電事業者が措置を講ずる必要が出てくるかもしれません。

また、電気の安定供給を確保するためには、発電事業者や小売電気事業者の協力が必要になることも有り得ます。よって、これら諸々の可能性を考慮すると、これら全てをまとめた用語である「電気事業者」とするのが正しいと判断できます。

以上から、( ア )には「業務規程」、( イ )には「会員」、( ウ )には「電気事業者」が入るので、正解は(5)となります。

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