問 題
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく水中照明の施設に関する記述である。
水中又はこれに準ずる場所であって、人が触れるおそれのある場所に施設する照明灯は、次によること。
a) 照明灯に電気を供給する電路には、次に適合する絶縁変圧器を施設すること。
- 1次側の( ア )電圧は300V以下、2次側の( ア )電圧は150V以下であること。
- 絶縁変圧器は、その2次側電路の( ア )電圧が30V以下の場合は、1次巻線と2次巻線との間に金属製の混触防止板を設け、これに( イ )種接地工事を施すこと。
b) a)の規定により施設する絶縁変圧器の2次側電路は、次によること。
- 電路は、( ウ )であること。
- 開閉器及び過電流遮断器を各極に施設すること。ただし、過電流遮断器が開閉機能を有するものである場合は、過電流遮断器のみとすることができる。
- ( ア )電圧が30Vを超える場合は、その電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。
- b) 2.の規定により施設する開閉器及び過電流遮断器並びにb) 3.の規定により施設する地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置は、堅ろうな金属製の外箱に収めること。
- 配線は、( エ )工事によること。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- ア イ ウ エ
- 使用 D 非接地式電路 合成樹脂管
- 対地 A 接地式電路 金属管
- 使用 D 接地式電路 合成樹脂管
- 対地 A 非接地式電路 合成樹脂管
- 使用 A 非接地式電路 金属管
解 説
この設問は、人が触れるおそれのある場所に施設する水中照明灯がテーマとなっています。要するにプール用水中照明灯などのことで、条件としては人が感電事故を起こしやすい危険なものであるため、かなり厳しい規制を設けられています。
このように考えられれば、本問に対する正確な知識がなくても、選択肢の中でより厳格なほうを選ぶことで正解することができます。
a)の文章に関して、変圧器の高電圧巻線と低電圧巻線の混触により高電圧が低電圧側の照明灯関係の電路に入り込まないように、照明灯に電気を供給するための絶縁変圧器を電源側と照明灯との間に設けるることが定められています。
さらに、安全性を高めるため、1次側の使用電圧の電圧を300V以下、2次側の電圧を150V以下に制限しています。よって、( ア )には「使用」が入ります。
( ア )を「使用」にするか「対地」にするかは少し悩むかもしれませんが、1次側と2次側の両方で対地電圧を制限することはありません(電気設備技術基準全体の話として)。そのため、1次側にも2次側にも同じ語句が入るとしたら、文章の流れに関係なく「使用電圧」だと思って大丈夫です。
( イ )について、上記の通り水中照明灯は感電のリスクを考えて安全策を取っています。よって、( イ )にはより厳格な接地方式である「A」種接地工事を施すのが正しいです。
a)の文章は、絶縁変圧器の2次側電路についての記述です。
( ウ )について、絶縁変圧器の2次側電路は「非接地式電路」とします。非接地式電路であれば、地絡事故が発生しても帰路がなく地絡電流が流れないので、感電を防ぐことができます。よって、( ウ )には「非接地式電路」が入ります。
( エ )に関して、絶縁変圧器の2次側の配線は「金属管工事」により施設します。これは、金属管工事により施設されていれば、絶縁電線の絶縁被覆が損傷して地絡を生じても、事故電流はその帰路として接地抵抗値の低い金属管に流れ、電流経路が限定されるためです。
仮にもうひとつの選択肢である「合成樹脂管」を使った場合、絶縁電線の損傷箇所の導体から直接事故電流が流出してしまいます。よって、( エ )には「金属管」が入ります。
以上から、( ア )は「使用」、( イ )は「A」、( ウ )は「非接地式電路」、( エ )は「金属管」となるので、正解は(5)です。
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