電験三種 R4年度上期 法規 問3 問題と解説

 問 題     

高圧架空電線路に施設された機械器具等の接地工事の事例として、「電気設備技術基準の解釈」の規定上、不適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 高圧架空電線路に施設した避雷器(以下「LA」という。)の接地工事を14mm2の軟銅線を用いて施設した。
  2. 高圧架空電線路に施設された柱上気中開閉器(以下「PAS」という。)の制御装置(定格制御電圧AC100V)の金属製外箱の接地端子に5.5mm2の軟銅線を接続し、D種接地工事を施した。
  3. 高圧架空電線路にPAS(VT・LA内蔵形)が施設されている。この内蔵されているLAの接地線及び高圧計器用変成器(零相変流器)の2次側電路は、PASの金属製外箱の接地端子に接続されている。この接地端子にD種接地工事(接地抵抗値70Ω)を施した。なお、VTとは計器用変圧器である。
  4. 高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力が750kWの需要場所の引込口に施設したLAにA種接地工事を施した。
  5. 木柱の上であって人が触れるおそれがない高さの高圧架空電線路に施設されたPASの金属製外箱の接地端子にA種接地工事を施した。なお、このPASにLAは内蔵されていない。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

(1)と(4)について、高圧や特別高圧の電路に施設する避雷器(LA)には、A種接地工事を施す必要があります。そして、A種接地工事に用いる接地線は、引張強さ1.04[kN]以上の難腐食性の金属線か、直径2.6[mm]以上の軟銅線を使います。

(1)は14mm2の軟銅線を用いるということですが、直径2.6mmの面積は1.3×1.3×3.14=5.3mm2なので、これは問題ありません。よって、(1)と(4)はともに正しいです。

(2)、(3)、(5)はいずれも金属製外箱の接地に関する記述です。金属製外箱の接地は、使用電圧の区分に応じて以下のような接地工事を行う必要があります。

  • 低圧300V以下 :D種接地工事
  • 低圧300V超  :C種接地工事
  • 高圧・特別高圧:A種接地工事

よって、(2)はAC100VなのでD種接地工事です。D種接地工事に用いる接地線は、引張強さ0.39[kN]以上の難腐食性の金属線か、直径1.6[mm]以上の軟銅線を使います。直径1.6mmの面積は0.8×0.8×3.14=2.0mm2なので、5.5mm2の軟銅線を用いている(2)は正しいです。

(3)と(5)は高圧なので、A種接地工事が必要となります。しかし、(3)の文章にはD種接地工事と書かれているので、(3)が誤りで、(5)は正しいことがわかります。

以上から、正解は(3)となります。

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