電験三種 R4年度上期 法規 問1 問題と解説

 問 題     

次の図は、「電気事業法」に基づく一般用電気工作物及び自家用電気工作物のうち受電電圧7000V以下の需要設備の保安体系に関する記述を表したものである。ただし、除外事項、限度事項等の記述は省略している。

なお、この問において、技術基準とは電気設備技術基準のことをいう。図中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •    ア         イ       ウ    エ
  1. 所有者又は占有者  登録調査機関   検査要領書  提出
  2. 電線路維持運用者  電気主任技術者  検査要領書  作成
  3. 所有者又は占有者  電気主任技術者  保安規程   作成
  4. 電線路維持運用者  登録調査機関   保安規程   提出
  5. 電線路維持運用者  登録調査機関   検査要領書  作成

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

( ア )には「所有者又は占有者」か「電線路維持運用者」が入りますが、所有者や占有者は必ずしも電気的知識が高い人とは限らず、これらの人に責任を負わせた場合には電気工作物の保安を確実なものにできるか微妙です。

そのため、効果的かつ合理的に保安を確保する観点から、当該一般用電気工作物が技術基準に適合しているかどうかを調査する責任を負うのは「電線路維持運用者」と定められています。

( イ )に関して、電線路維持運用者に代わって調査を行えるのは、経済産業大臣の登録を受けた者だけです。この者を「登録調査機関」といい、具体的には「一般財団法人関東電気保安協会」など、各地方の電気保安協会がこれに該当します。

電気主任技術者には調査の権限がないので、( イ )には「登録調査機関」が入ります。

( ウ )には「検査要領書」か「保安規程」が入ります。

検査要領書は、検査をする際の要領をあらかじめ決めておくものなので、検査を実施する側が作成します(検査を受ける側ではありません)。

一方、保安規程は、電気工作物の工事、維持、運用に関する保安を確保するために、設置者が作成して主務大臣(経済産業大臣)に届け出るものです。

よって、( ウ )の主語は「電気工作物を設置する者」なので、( ウ )には「保安規程」を入れるのが適当だと判断できます。

( エ )を含む文章を読むと、経済産業大臣が設置者に「報告または資料の( エ )をさせる」と書かれています。「提出」でも「作成」でも意味は通じそうですが、「報告」と並べて使う言葉として適切なのは「提出」なので、こちらが正しいです。

設置者に資料を作成させるだけでは、経済産業大臣はその内容を確認することができません。「報告」と併記するということは、報告と同様に経済産業大臣まで情報が届くということが大事なので、( エ )には「提出」を入れるのが適切であると判断できます。

以上から、( ア )は「電線路維持運用者」、( イ )は「登録調査機関」、( ウ )は「保安規程」、( エ )は「提出」となるので、正解は(4)です。

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