問 題
水力発電に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 水車発電機の回転速度は、汽力発電と比べて小さいため、発電機の磁極数は多くなる。
- 水車発電機の電圧の大きさや周波数は、自動電圧調整器や調速機を用いて制御される。
- フランシス水車やペルトン水車などで用いられる吸出し管は、水車ランナと放水面までの落差を有効に利用し、水車の出力を増加する効果がある。
- 我が国の大部分の水力発電所において、水車や発電機の始動・運転・停止などの操作は遠隔監視制御方式で行われ、発電所は無人化されている。
- カプラン水車は、プロペラ水車の一種で、流量に応じて羽根の角度を調整することができるため部分負荷での効率の低下が少ない。
正解 (3)
解 説
(1)は正しいです。比較的低速度の水車を原動機とした水車発電機は、50Hzまたは60Hzの商用周波数を発生させるために磁極数が多く、回転子の直径が軸方向に比べて大きく作られています。
(2)も正しいです。自動電圧調整器は出力電圧の大きさを一定に保持する機能を有する装置です。また、調速機は水車の回転速度を一定に保持する機能を有する装置です。
(3)で、吸出し管の説明は記述の通りで、水車ランナと放水面までの落差を有効に利用し、水車の出力を増加する効果があります。水車は衝動水車と反動水車の2種類に大別されますが、このうち吸出し管を利用するのは反動水車のほうです。
【衝動水車】水の位置エネルギーを運動エネルギーに変換してから発電する
- ペルトン水車
- クロスフロー水車
【反動水車】水の位置エネルギーを圧力エネルギーに変換してから発電する
- フランシス水車
- プロペラ水車(カプラン水車・チューブラ水車)
- 斜流水車
以上から、(3)にある「ペルトン水車」は衝動水車の一種であり、これに吸出し管は使われていません。よって、これが誤りの記述となります。
(4)は正しいです。特に重要事項の書かれている選択肢ではありませんが、特に矛盾点もないので、正しい文章だと判断しやすいと思います。
(5)も正しいです。(3)の解説にある通り、カプラン水車は反動水車の中のプロペラ水車の一種です。プロペラ水車はランナがプロペラ羽根になっているのが特徴ですが、カプラン水車の場合、このプロペラ羽根が可動式となっています。
以上から、正解は(3)です。
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