問 題
図は、電界効果トランジスタ(FET)を用いたソース接地増幅回路の簡易小信号交流等価回路である。この回路の電圧増幅度を近似する式として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、図中のS、G、Dはそれぞれソース、ゲート、ドレインであり、vi[V]、vo[V]、vgs[V]は各部の電圧、gm[S]はFETの相互コンダクタンスである。また、抵抗rd[Ω]は抵抗RL[Ω]に比べて十分大きいものとする。
解 説
問題で与えられている回路図を見ると、左側には電圧源が、右側には電流源(○の中に-があるマーク)があることがわかります。また、求めたいのはvoとviの比ですが、viは左側、voは右側の回路に含まれているため、これらを分けて考えるとわかりやすいと思います。
解法の方向性としては、回路図左側のviをvgsを使って表し、右側のvoも同じようにvgsを使って表します。そうするとvgsを介してvoとviを結ぶ式を作ることができるため、voとviの比が計算できます。以下、これを具体的に解説していきます。
まずは簡単そうな左側の回路について見ると、これは電圧源の電圧がviで端子電圧がvgsはなので、迷うことなく以下の等式が成り立ちます。
続いて右側の回路を見ていきます。電流源がgmviと表されているので、ここを流れる電流をi[A]とすると、下式が成り立ちます。
また、rdとRLが並列に並んだままだと考えにくいので、2つの抵抗を合成します。
すると、(2)式と(3)式から、問題の図の右側は次のように描き換えることができます。
よって、オームの法則より、voはvgsを使って次のように計算することができます。
(1)式と(4)式より、求めたい電圧増幅度Avは次の通りとなります。
(5)式が設問に対する解答になっているはずですが、選択肢を見ても当てはまるものがありません。しかし、問題文をよく読むと「Avを近似する式」とあるので、近似が必要となります。
抵抗rd[Ω]は抵抗RL[Ω]に比べて十分大きい(rd≫RL)とのことなので、(5)式の分母の「rd+RL」はほぼ「rd」と変わらないと見なすことができます。よって、(5)式は次のように近似できます。
以上から、正解は(1)となります。
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