電験三種 R3年 機械 問8 問題と解説

 問 題     

ブラシレスDCモータに関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. ブラシレスDCモータは、固定子巻線に流れる電流と、回転子に取り付けられた永久磁石によってトルクを発生させる構造となっている。
  2. ブラシレスDCモータは、回転子の位置により通電する巻線を切り換える必要があるため、ホール素子などのセンサによって回転子の位置を検出している。
  3. ブラシ付きの直流モータに比べ、ブラシと整流子による機械的接触部分がないため、火花による電気雑音は低減し、モータの寿命は長くなる。
  4. ブラシ付きの直流モータに比べ、位置センサの信号処理や、駆動用の制御回路が必要となり、モータの駆動に必要な周辺回路が複雑になる。
  5. ブラシレスDCモータは効率がよくないため、エアコンや冷蔵庫のような省エネ性能が求められる大型の家電製品には利用されていない。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

ブラシレスDCモータは、従来はブラシと整流子の機械的接触によって整流を行っていたものを、半導体スイッチを用いて電子的に行っているDCモータです。

(1)は正しいです。ブラシレスDCモータは、永久磁石が回転子側に、電機子巻線が固定子側に取り付けられた構造となっています。

固定子側に取り付けられた電機子が回転磁界を作り、これに同期して回転子側に取り付けられた永久磁石の界磁が回転するので、ブラシと整流子が必要な一般の直流電動機とは反対で、むしろ同期機と同様の機構です。

(2)も正しいです。固定子側では、ホール素子によって永久磁石の位置を検出することで、電機子巻線への電流を切り換えています。

(3)と(4)もともに正しいです。ブラシ付きの直流モータと比べて、(3)のようなメリットがある一方、(4)のようなデメリットも存在します。

(5)が誤りの文章です。ブラシレスDCモータは半導体スイッチの発達とともに発展してきたモータであり、ブラシ付きの直流モータと比べて効率が良く、近年は省エネ性能が求められる大型の家電製品にも広く用いられています。

高効率の理由として、ブラシ付きの直流モータは(3)にあるように機械的・電気的な損失が生じますが、ブラシレスDCモータだとこの損失が少ないことが挙げられます。また、(4)にあるように電子制御を行うので、無駄のない細かな調整が実現できることも高効率の理由です。

以上から、正解は(5)となります。

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