問 題
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における分散型電源の低圧連系時及び高圧連系時の施設要件に関する記述である。
a) 単相3線式の低圧の電力系統に分散型電源を連系する場合において、( ア )の不平衡により中性線に最大電流が生じるおそれがあるときは、分散型電源を施設した構内の電路であって、負荷及び分散型電源の並列点よりも( イ )に、3極に過電流引き外し素子を有する遮断器を施設すること。
b) 低圧の電力系統に逆変換装置を用いずに分散型電源を連系する場合は、( ウ )を生じさせないこと。
c) 高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、分散型電源を連系する配電用変電所の( エ )において、逆向きの潮流を生じさせないこと。ただし、当該配電用変電所に保護装置を施設する等の方法により分散型電源と電力系統との協調をとることができる場合は、この限りではない。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- ア イ ウ エ
- 負荷 系統側 逆潮流 配電用変圧器
- 負荷 負荷側 逆潮流 引出口
- 負荷 系統側 逆充電 配電用変圧器
- 電源 負荷側 逆充電 引出口
- 電源 系統側 逆潮流 配電用変圧器
解 説
問題文のa)とb)に該当するのは「電気設備の技術基準の解釈」第226条(低圧連系時の施設要件)、c)は第228条(高圧連系時の施設要件)です。
( ア )で、単相3線式の配電線路では、負荷のバランスが取れていれば中性線に電流が流れません。しかし何らかの都合で外側の2線のバランスが崩れると、中性線に大きな電流が流れることになります。よって、( ア )には「負荷」が入ります。
単相3線式については電力科目でもよく出題されるので、もし回路図や特徴がイメージできない方は、配電線の電気方式(三相3線式など)のページを併せて確認しておいてください。
( イ )で、負荷の不平衡と発電電力の逆潮流によって中性線に負荷線以上の過電流が生じたときは、中性線に過電流検出素子がないと過電流を検出できないおそれがあります。そこで、負荷及び分散型電源の並列点よりも系統側に3極に過電流引き外し素子を有する遮断器を設置します。
よって、( イ )には「系統側」が入ります。
( ウ )の選択肢には「逆潮流」と「逆充電」があります。
逆潮流とは、分散型電源設置者の構内から、一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れのことです。
逆充電とは、分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、分散型電源のみが連系している電力系統を加圧し、かつ、当該電力系統へ有効電力を供給していない状態のことをいいます。
ここで、( ウ )を含む文章には「逆変換装置」とありますが、これは直流を交流に変換する装置(インバータ)のことです。よって、この文章は、直流を交流にできないなら( ウ )しては駄目です…という感じの意味合いとなります。
この流れから、分散型電源によって作った直流の電気を、直流のまま(交流に変換しないで)一般送配電事業者が運用する電力系統側に送り込んではいけない…という話だと考えられるので、( ウ )には「逆潮流」を入れるのが適切だと判断できます。
( エ )で、配電用変電所バンク単位(変圧器1セット)で逆潮流が発生すると、保護協調面での問題による感電・火災が生じるおそれがあります。つまり、配電用変電所の引出口で逆潮流を防いでも不十分であり、もっと狭い範囲の配電用変圧器において逆潮流を発生させないことが必要です。
よって、( エ )には「配電用変圧器」が入ります。
以上から、
- 負荷
- 系統側
- 逆潮流
- 配電用変圧器
となるので、正解は(1)です。
コメント