電験三種 R3年 電力 問13 問題と解説

 問 題     

次の文章は、我が国の高低圧配電系統における保護に関する記述である。

6.6kV高圧配電線に短絡や地絡などの事故が生じたとき、直ちに事故の発生した高圧配電線を切り離すために、( ア )と保護継電器が配電用変電所の高圧配電線引出口に設置されている。

樹枝状方式の高圧配電線で事故が生じた場合、事故が発生した箇所の変電所側直近及び変電所から離れた側の( イ )開閉器を開放することにより、事故が発生した箇所を高圧配電線系統から切り離す。

柱上変圧器には、変圧器内部及び低圧配電系統内での短絡事故による過電流保護のために高圧カットアウトが設けられているほか、落雷などによる外部異常電圧から保護するために、避雷器を変圧器に対して( ウ )に設置する。

( エ )は低圧配電線から低圧引込線への接続点などに設けられ、低圧引込線で生じた短絡事故などを保護している。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •   ア      イ   ウ     エ
  1. 高圧ヒューズ  区分  直列  配線用遮断器
  2. 遮断器     区分  並列  ケッチヒューズ(電線ヒューズ)
  3. 遮断器     区分  直列  配線用遮断器
  4. 高圧ヒューズ  連系  並列  ケッチヒューズ(電線ヒューズ)
  5. 遮断器     連系  直列  ケッチヒューズ(電線ヒューズ)

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

( ア )について、6.6kV高圧配電線の短絡故障や地絡故障による異常電流から保護するためには、保護継電器と遮断器が用いられます。保護継電器で異常電流を認識すると、遮断器を作動して周囲との電気的なつながりを断ち、事故の影響を最小限に抑えます。

「保護継電器」と「遮断器」はセットで覚えて、問題文で一方が与えられたら他方を連想できるとよいと思います。よって、( ア )には「遮断器」が入ります。

( イ )について、樹枝状方式(放射状方式)は、ある幹線を軸として、そこから枝分かれ(分岐線)を延ばす配電方式です。

上図の通り、一部が故障した場合には区分開閉器によって事故区間を遮断することが可能なので、( イ )には「区分」が入ります。

( ウ )では、避雷器を変圧器に対してどう接続するかが問われています。ここで、避雷器を設置する目的は、雷撃を受けた際にこちらに電流が流れるようにすることで、他の機器(今回は変圧器)への影響を防ぐことです。

よって、避雷器と変圧器が並列だと変圧器側に大電流を流さずに済みますが、直列だと同じだけの電流が流れてしまうので避雷器の役割を果たせません。そのため、( ウ )には「並列」を入れるのが適切だと判断できます。

( エ )で、低圧引込線で短絡事故が生じた際に需要場所側へ過電流が流れるのを防ぐため、低圧配電線から低圧引込線への接続点などに、ケッチヒューズ(電線ヒューズ)が設けられています。

本問の問題文にもある「高圧カットアウト」が高圧系統-低圧系統間の遮断に用いられるのに対し、「ケッチヒューズ」は低圧引込線-需要場所間の遮断に用いられます。

よって、( エ )は「ケッチヒューズ(電線ヒューズ)」が入ります。

以上から、( ア )は「遮断器」、( イ )は「区分」、( ウ )は「並列」、( エ )は「ケッチヒューズ(電線ヒューズ)」となるので、正解は(2)です。

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