電験三種 R3年 電力 問11 問題と解説

 問 題     

地中送電線路に使用される電力ケーブルの許容電流に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 電力ケーブルの絶縁体やシースの熱抵抗、電力ケーブル周囲の熱抵抗といった各部の熱抵抗を小さくすることにより、ケーブル導体の発熱に対する導体温度上昇量を低減することができるため、許容電流を大きくすることができる。
  2. 表皮効果が大きいケーブル導体を採用することにより、導体表面側での電流を流れやすくして導体全体での電気抵抗を低減することができるため、許容電流を大きくすることができる。
  3. 誘電率、誘電正接の小さい絶縁体を採用することにより、絶縁体での発熱の影響を抑制することができるため、許容電流を大きくすることができる。
  4. 電気抵抗率の高い金属シース材を採用することにより、金属シースに流れる電流による発熱の影響を低減することができるため、許容電流を大きくすることができる。
  5. 電力ケーブルの布設条数(回線数)を少なくすることにより、電力ケーブル相互間の発熱の影響を低減することができるため、1条当たりの許容電流を大きくすることができる。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(2)に関して、表皮効果とは、電流密度が導体の表面で高くなり、表面から離れるにつれ低くなっていく現象です。

つまり、表皮効果が大きいと、導体の表面では電流が流れやすい一方、表面以外の部分(特に中央付近)の抵抗が高くなってしまうので、ケーブル全体で考えると抵抗値は高くなってしまいます。よって、表皮効果は不都合な効果といえます。

ちなみに、1本の太い導体を用いると表皮効果が顕著に現れ、導体の抵抗が高くなってしまいます。しかし、多導体であれば電流がうまく分散させることができるので、表皮効果を抑え、抵抗をあまり上げずに済みます。

以上を踏まえて(2)の文章について考えます。

表皮効果が大きいケーブル導体を採用すると、導体全体での電気抵抗は高くなり、許容電流は小さくなるので、この記述は誤りです。冒頭の「表皮効果が大きい」を「表皮効果が小さい」に変えれば、正しい文章となります。

よって、正解は(2)です。

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