電験三種 R3年 電力 問10 問題と解説

 問 題     

次の文章は、がいしの塩害とその対策に関する記述である。

風雨などによってがいし表面に塩分が付着すると、( ア )が発生することがあり、可聴雑音や電波障害、フラッシオーバの原因となる。これをがいしの塩害という。

がいしの塩害対策は、塩害の少ない送電ルートの選定、がいしの絶縁強化、がいしの洗浄、がいし表面への( イ )性物質の塗布が挙げられる。

懸垂がいしにおいて、絶縁強化を図るには、がいしを( ウ )に連結する個数を増やす方法や、がいしの表面漏れ距離を( エ )する方法が用いられる。

また、懸垂がいしと異なり、棒状磁器の両端に連結用金具を取り付けた形状の( オ )がいしは、雨洗効果が高く、塩害に対し絶縁性が高い。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •  ア     イ     ウ   エ   オ
  1. 漏れ電流  はっ水  直列  長く  長幹
  2. 過電圧   吸湿   直列  短く  ピン
  3. 漏れ電流  吸湿   並列  短く  長幹
  4. 過電圧   はっ水  並列  長く  長幹
  5. 漏れ電流  はっ水  直列  短く  ピン

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

( ア )で、塩分は導電性物質なので、がいし表面に塩分が付くと電流が流れやすくなります。よって、これによって生じ得るのは「漏れ電流」です。よって、( ア )は「漏れ電流」となります。

( イ )の選択肢には「はっ水」と「吸湿」がありますが、塩分を含んだ水は電気をよく通すので、がいし表面に吸湿性物質を塗布してしまうと、より漏れ電流が生じやすくなって不都合です。

一方、はっ水性物質を塗布すると、塩分を含んだ風雨が付着しにくくなったり、付着しても水分が定着しないため漏れ電流が生じにくくなったりするので、これは塩害対策として有効です。よって、( イ )は「はっ水」を選ぶのが正しいです。

( ウ )で、この直前に「絶縁強化を図る」とあるように、がいしを連結する目的は絶縁性能を強化することです。そのため、抵抗が大きくなるように接続する必要があるので、( ウ )には「直列」が入ります。

( エ )で、表面漏れ距離とは、がいしが絶縁できる距離のことです。表面漏れ距離が長ければ長いほど絶縁性能に優れているといえるので、( エ )には「長く」を入れるのが適切です。

( オ )で、この直後にある「雨洗効果が高く」というのは、長幹がいしの特徴です。長幹がいし・耐霧がいし・耐塩がいしなどが、塩害対策としてよく用いられます。よって、( オ )には「長幹」が入ります。

以上から、( ア )は「漏れ電流」、( イ )は「はっ水」、( ウ )は「直列」、( エ )は「長く」、( オ )は「長幹」となるので、正解は(1)です。

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