電験三種 R3年 電力 問6 問題と解説

 問 題     

分散型電源に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 太陽電池で発生した直流の電力を交流系統に接続する場合は、インバータにより直流を交流に変換する。連系保護装置を用いると、系統の停電時などに電力の供給を止めることができる。
  2. 分散型電源からの逆潮流による系統電圧上昇を抑制する手段として、分散型電源の出力抑制や、電圧調整器を用いた電圧の制御などが行われる。
  3. 小水力発電では、河川や用水路などでの流込み式発電が用いられる場合が多い。
  4. 洋上の風力発電所と陸上の系統の接続では、海底ケーブルによる直流送電が用いられることがある。ケーブルでの直流送電のメリットとして、誘電損を考慮しなくてよいことなどが挙げられる。
  5. 一般的な燃料電池発電は、水素と酸素との吸熱反応を利用して電気エネルギーを作る発電方式であり、負荷変動に対する応答が早い。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

(5)に関して、水素と酸素との反応で吸熱してしまうなら、エネルギーが奪われているので電気エネルギーを作るどころではありません。

しかし、実際には水素と酸素との反応は「吸熱反応」ではなく「発熱反応」なので、熱エネルギーを取り出して電気エネルギーを作ることができます。

燃料電池の化学反応式は、以下の通りです。

これは水の電気分解の逆反応になっています。水を電気分解するためには結構なエネルギーを外から加えなければいけませんが、裏を返せば、水素と酸素を反応させて水にすれば、結構なエネルギーが取り出せるということになります。

また、(5)の文中にある「負荷変動に対する応答が早い」という特徴は正しいです。水素自動車はこの燃料電池の実例であり、自動車はまさに負荷変動が激しいですが、問題なく運転できるほどの応答の早さをもちます。

以上から、(5)の「吸熱反応」が誤りで、正しくは「発熱反応」となります。

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