電験三種 R3年 電力 問2 問題と解説

 問 題     

図で、水圧管内を水が充満して流れている。断面Aでは、内径2.2m、流速3m/s、圧力24kPaである。このとき、断面Aとの落差が30m、内径2mの断面Bにおける流速[m/s]と水圧[kPa]の最も近い値の組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、重力加速度は9.8m/s2、水の密度は1000kg/m3、円周率は3.14とする。

  • 流速[m/s] 水圧[kPa]
  1.  3.0    318
  2.  3.0    316
  3.  3.6    316
  4.  3.6    310
  5.  4.0    300

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

流水の流速や水圧が問われているので、水力学にとって重要な公式である「ベルヌーイの定理」と「連続の式」を使います。これらはどちらも重要なので、ぜひ押さえておくべき知識です。

【ベルヌーイの定理】

  • h:基準からの高さ [m]
  • v:流速 [m/s]
  • p:圧力 [N/m2]=[Pa]
  • ρ:水の密度=1000 [kg/m3]
  • g:重力加速度=9.8 [m/s2]
  • const.:constantの略で「一定」という意味

これを文章で表現すると、水が管の中を流れているとき、そのうちどの点においても「位置エネルギー」と「運動エネルギー」と「圧力エネルギー」の和は一定となります。要するに、流水のエネルギー保存の法則を表しています。

【連続の式】

  • A:断面積[m2]
  • v:流速[m/s]

上記において、断面積と流速を掛けるとその単位は[m3/s]となり、その地点での流量が求められます。水管中をスムーズに水が流れている場合、水管中のどの断面をとってもそこを通る水の量は一定、という意味の式となります。これは、流水の質量保存の法則を表しています。

以上を踏まえて設問を解いていきます。

まず、断面Aでの内径と流速がわかっていて、断面Bでの断面もわかっているため、断面Bでの流速vBは(2)式を使って次のように計算できます。

よって、1つ目の答えは「3.6」となります。

次に、断面Bでの水圧pBを求めたいので、(1)式を以下のように書き換え、各種の値を代入して計算していきます。

(4)式において、hAとhBは具体的に与えられていませんが、落差は30[m]なので、hA-hB=30[m]であることがわかります。問題文で与えられた数値や(3)式の結果を使うと、(4)式は次のように計算できます。

よって、2つ目の答えは「316」となります。

以上から、正解は(3)です。

コメント