問 題
次のような実験を真空の中で行った。
まず、箔検電器の上部アルミニウム電極に電荷Q[C]を与えたところ、箔が開いた状態になった。次に、箔検電器の上部電極に赤外光、可視光、紫外光の順に光を照射したところ、紫外光を照射したときに箔が閉じた。
ただし、赤外光、可視光、紫外光の強度はいずれも上部電極の温度をほとんど上昇させない程度であった。
この実験から分かることとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 電荷Qは正電荷であった可能性も負電荷であった可能性もある。
- 紫外光が特定の強度よりも弱いとき箔はまったく閉じなくなる。
- 赤外光を照射したとき上部電極に熱電子が吸収された。
- 可視光を照射したとき上部電極の電気抵抗が大幅に低下した。
- 紫外光を照射したとき上部電極から光電子が放出された。
解 説
本問は光の粒子性を実験によって示す「光電効果」の問題です。出題頻度から見れば珍しい問題だといえますが、正解を選ぶだけならさほど難しい問題でもありません。
というのも、問題文中に「赤外光、可視光、紫外光の順に光を照射したところ、紫外光を照射したときに箔が閉じた」とあるので、(3)の赤外光や(4)の可視光は箔の開閉に関係ないはずで、これらは正解になり得ません。
一方、(5)にあるように紫外光によって電荷Q[C]の光電子が放出されたなら、反発力によって開いていた箔が閉じた状態になるのは自然な現象なので、これが正解であると推測できます。
よって、正解は(5)となります。
以上は知識がなかった場合の解法ですが、以下では、光電効果についてもう少ししっかり解説します。
光電効果とは、金属表面の一部に紫外線を照射すると、電子が飛び出してくるという現象です。これは紫外線の光の強度に関わらず、振動数がある値を超えたときだけ、電子の飛び出しが観測されます。また、放出された電子を特に光電子と呼んでいます。
(1)で、上記の通りこれは金属表面の電子が放出される現象であるため、これは負電荷です。よって、(1)の記述は誤りです。
(2)も上記で解説済みですが、光電効果が起こるかどうかは「光の強度」ではなく、「光の振動数[Hz]」によって決まります。よって、紫外光の強度が低いために箔が閉じなくなるわけではないので、これも誤りです。
(3)の赤外光や(4)の可視光では振動数が低すぎて光電効果が起こりません。よって、これらも誤りの選択肢です。
残る(5)が光電効果の特徴を正しく表しているため、これが正解の選択肢となります。
以上から、正解は(5)です。
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