電験三種 R2年 理論 問11 問題と解説

 問 題     

次の文章は、可変容量ダイオード(バリキャップやバラクタダイオードともいう)に関する記述である。

可変容量ダイオードとは、図に示す原理図のように( ア )電圧V[V]を加えると静電容量が変化するダイオードである。

p形半導体とn形半導体を接合すると、p形半導体のキャリヤ(図中の●印)とn形半導体のキャリヤ(図中の○印)がpn接合面付近で拡散し、互いに結合すると消滅して( イ )と呼ばれるキャリヤがほとんど存在しない領域が生じる。

可変容量ダイオードに( ア )電圧を印加し、その大きさを大きくすると、( イ )の領域の幅dが( ウ )なり、静電容量の値は( エ )なる。

この特性を利用して可変容量ダイオードは( オ )などに用いられている。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •  ア    イ     ウ     エ      オ
  1. 逆方向  空乏層  広く  小さく  無線通信の同調回路
  2. 順方向  空乏層  狭く  小さく  光通信の受光回路
  3. 逆方向  空乏層  広く  大きく  光通信の受光回路
  4. 順方向  反転層  狭く  大きく  無線通信の変調回路
  5. 逆方向  反転層  広く  小さく  無線通信の同調回路

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

可変容量ダイオードは、空乏層の静電容量が逆電圧によって変化する性質を利用したダイオードです。逆電圧の大きさを小さくしていくと静電容量は大きくなり、反対に、逆電圧の大きさを大きくしていくと静電容量は小さくなります。

よって、( ア )には「逆方向」が、( イ )には「空乏層」が入ります。

( イ )のほうは知識がなくても、「互いに結合すると消滅して( イ )と呼ばれるキャリヤがほとんど存在しない領域」という文章から、「反転層」ではなく「空乏層」と呼ぶのが適切であると判断できると思います。

( ウ )に関して、逆電圧をどんどん掛けていけば、その分だけp形半導体のキャリヤとn形半導体のキャリヤが互いに結合→消滅して、新たに空乏層が発生します。よって、逆電圧が大きいほど空乏層は広がっていくので、( ウ )には「広く」が入ります。

( エ )は解説の冒頭で示したとおり、逆電圧の大きさを大きくしていくと静電容量は小さくなるので、( エ )には「小さく」が入ります。

( オ )で、可変容量ダイオードの実用例としては、通信機器などの同調回路として用いられています。よって、( オ )には「無線通信の同調回路」が入ります。ただし、これは知らなくても、ア~エを適切に答えられれば正解できるので、( オ )は気にしないでもいいと思います。

以上から、正解は(1)となります。

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