電験三種 R2年 機械 問11 問題と解説

 問 題     

慣性モーメント50kg・m2のはずみ車が、回転数1500min-1で回転している。このはずみ車に負荷が加わり、2秒間で回転数が1000min-1まで減速した。

この間にはずみ車が放出した平均出力の値[kW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、軸受の摩擦や空気の抵抗は無視できるものとする。

  1. 34
  2. 137
  3. 171
  4. 308
  5. 343

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

はずみ車に蓄えられるエネルギーは以下の式で表されます。これは重要な式ですので、ぜひ覚えておくことをお勧めします。

  • E:はずみ車に蓄えられる運動エネルギー[J]
  • I:はずみ車の慣性モーメント[kg・m2]
  • ω:電動機の角速度[rad/s]

また、上式の角速度ω[rad/s]は、下式で表すことができます。2つの式を並べていますが、どちらも同じことを表しています。違いは、回転速度を秒速で表すか分速で表すかだけです。どちらか覚えやすいほうで押さえておいてください。

  • n:電動機の回転速度[s-1]

  • N:電動機の回転速度[min-1]

今回問われているのははずみ車に蓄えられるエネルギー[J]ではなく、はずみ車が放出した平均出力[kW]ですが、とりあえず上式が重要公式なので、ここから考えていくことにします。

解法の方向性としては、まず、回転数1500min-1のときにはずみ車に蓄えられるエネルギーを計算し、次に回転数1000min-1のときのエネルギーを計算します。これらを比べて減った分のエネルギーが、はずみ車が放出したエネルギー[kJ]となります。

この間の時間が2秒間なので、このエネルギー量[kJ]を2[s]で割ることで、平均出力[kJ/s=kW]を求めることができます。

以下、上記で書いたことを具体的に計算していきます。

まず、回転数1500min-1のときにはずみ車に蓄えられるエネルギーE1は次のようになります。

続いて、回転数1000min-1のときにはずみ車に蓄えられるエネルギーE2も同様に計算します。

ここから、はずみ車が放出したエネルギーEがわかります。

今回は[kJ]ではなく[kW]が問われているので、上記の結果を時間t=2[s]で割ると、平均出力Pの値を求められます。

以上から、正解は(3)です。

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