電験三種 R2年 機械 問6 問題と解説

 問 題     

次の文章は、交流整流子モータの特徴に関する記述である。

交流整流子モータは、直流直巻電動機に類似した構造となっている。直流直巻電動機では、加える直流電圧の極性を逆にしても、磁束と電機子電流の向きが共に( ア )ので、トルクの向きは変わらない。交流整流子モータは、この原理に基づき回転力を得ている。

交流整流子モータは、一般に始動トルクが( イ )、回転速度が( ウ )なので、電気ドリル、電気掃除機、小型ミキサなどのモータとして用いられている。なお、小容量のものでは、交流と直流の両方に使用できるものもあり、( エ )と呼ばれる。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •   ア     イ     ウ      エ
  1. 逆になる   大きく  低速  ユニバーサルモータ
  2. 変わらない  小さく  低速  ユニバーサルモータ
  3. 変わらない  大きく  高速  ブラシレスDCモータ
  4. 逆になる   小さく  低速  ブラシレスDCモータ
  5. 逆になる   大きく  高速  ユニバーサルモータ

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

( ア )に関して、直流直巻電動機は界磁回路と電機子回路とが直列に接続されています。その等価回路は次のように表すことができます。

ここで、外部電源の電圧の向きを反対にすると、界磁回路を流れる電流も電機子回路を流れる電流も反対になるので、磁束と電機子電流の向きが共に逆になります。そのため、結果的にトルクの向きは変わりません。

よって、( ア )には「逆になる」が入ります。

( イ )と( ウ )について、交流整流子モータの例として挙げられているのが電気ドリルや電気掃除機、小型ミキサです。これらの例から考えるとわかりやすいと思いますが、いずれもスイッチを押した瞬間に強く速く回転しています。決して、助走をつけながらゆっくりと回転しだすわけではありません。

よって、交流整流子モータは始動トルクも回転速度も大きいのが特徴なので、( イ )には「大きく」が、( ウ )には「高速」が入ります。

( エ )には「ユニバーサルモータ」か「ブラシレスDCモータ」が入ります。

ユニバーサルには「普遍的な」とか「共通の」といった意味合いがあるので、交流と直流の両方に使用できるという特徴とマッチする言葉です。一方、ブラシレスDCモータの「DC」はDirect Current(直流)のことなので、これは直流でしか使えません。

よって、( エ )には「ユニバーサルモータ」が入ります。

以上から、正解は(5)です。

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