電験三種 R2年 電力 問4 問題と解説

 問 題     

次の文章は、原子燃料に関する記述である。

核分裂は様々な原子核で起こるが、ウラン235などのように核分裂を起こし、連鎖反応を持続できる物質を( ア )といい、ウラン238のように中性子を吸収して( ア )になる物質を( イ )という。天然ウラン中に含まれるウラン235は約( ウ )%で、残りは核分裂を起こしにくいウラン238である。

ここで、ウラン235の濃度が天然ウランの濃度を超えるものは、濃縮ウランと呼ばれており、濃縮度3%から5%程度の( エ )は原子炉の核燃料として使用される。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •   ア      イ    ウ     エ
  1. 核分裂性物質  親物質   1.5  低濃縮ウラン
  2. 核分裂性物質  親物質   0.7  低濃縮ウラン
  3. 核分裂生成物  親物質   0.7  高濃縮ウラン
  4. 核分裂生成物  中間物質  0.7  低濃縮ウラン
  5. 放射性物質   中間物質  1.5  高濃縮ウラン

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

( ア )で、「核分裂を起こし、連鎖反応を持続できる物質」の名称は、概ね文字通りで「核分裂性物質」といいます。そして、核分裂によってできたものが「核分裂生成物」です。

「放射性物質」は放射線を放出する性質をもつ物質のことなので、核分裂をしなくても放射性物質に該当するものもあります。

よって、( ア )には「核分裂性物質」が入ります。

( イ )で、ウラン238は核分裂性物質ではありませんが、中性子を吸収するとプルトニウム239となり、これは核分裂性物質です。このように、それ自体は核分裂性物質でないけれど、核分裂性物質を生み出すことのできる物質を「親物質」といいます。

よって、( イ )には「親物質」が入ります。

( ウ )で、鉱山から採取できる天然ウランは、全体の0.7%程度がウラン235で、残りの99%以上が核分裂性物質でないウラン238です。「ウラン235の割合は全体の0.7%」というのは頻出なので、重要知識として押さえておいてください。

よって、( ウ )には「0.7」が入ります。

( エ )で、ウラン235が0.7%程度しか含まれていない天然ウランでは、原子力発電に使うには濃度が薄すぎます。そこで、これを精錬、転換、遠心分離によって濃度3~5%くらいの低濃縮ウランに変えてから、原子炉の核燃料として使用します。

ちなみに、高濃縮ウランはウラン235の濃度が20%以上のもので、原子爆弾などの軍事目的で使用されるもので、原子力発電で用いられることはありません。よって、電験三種の試験範囲では、正しい記述として高濃縮ウランが出てくることはないはずです。

よって、( エ )には「低濃縮ウラン」が入ります。

以上から、正解は(2)です。

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