電圧計、電流計、電力計

電気回路では、オームの法則などを使って既知のパラメータ(電圧や電流、抵抗など)から、未知のパラメータを計算によって求めることができます。しかし、電圧や電流は目に見えるものではないので、電圧や電流を知るためには専用の計器が必要となります。

電圧、電流、電力を測定する計器のことをそれぞれ、電圧計電流計電力計といいます。

これらの計器を回路図上で表現する際には、その単位のアルファベットにを◯で囲います。つまり、電圧計はVを◯で囲み、電流計はAを◯で囲み、電力計はWを◯で囲みます。たとえば、以下のような感じです。

上図において、電圧計と電流計についてはVとかAの下に、実線と点線の二重線や波線が描かれています。これは、その回路が直流であるか交流であるかを示していますが(二重線が直流用計器、波線が交流用計器)、電験三種の試験では作図問題などはないので、特に気にしなくても大丈夫です。

むしろ気にして欲しいのは、各種の計器のつなぎ方です。

上図を見てもわかるように、電流計は測定対象(負荷など)に対して直列に接続します。電流は直列に並んでいれば全て同じ電流が流れるので、測りたいものと直列に配置しなければなりません。もし並列に並べてしまうと、電流が電流計のほうと負荷のほうに分岐してしまうので、正確な値を知ることができません。

一方、電圧計は測定対象(負荷など)に対して並列に接続します。並列に並んだ2つの負荷は電圧が同じになるように、電圧計と測定対象とを並列に並べることで、求める電圧を知ることができます。これを直列に並べてしまうと、端子間電圧が分散されてしまうため、求める値よりも小さくなってしまいます。

そして、電力を計算するためには電圧と電流の両方の値が必要となるので、電力計は測定対象(負荷など)に対して直列にも並列にも接続します。つまり、電力計には2組の電線がつながっているということです(上図の回路図参照)。

ちなみに、電力計で求めることができるのは、回路図上のWマークからもわかるように有効電力P[W]のみです。もし皮相電力S[V・A]が知りたい場合は、電流計の値と電圧計の値との積を計算すれば求めることができます。また、無効電力Q[var]が知りたい場合は、三平方の定理や三角比を使った変換式で計算によって求めます(詳しい計算方法についてはこちらのページ参照)。

次項では、この項で紹介した3つの計器を含む回路図の計算問題の例と、その解説を扱います。

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