動作原理による計器の分類

アナログ計器(アナログ指示計器)は指針値を目視で確認するタイプの計器のことですが、その動作原理には様々な種類があるので、これを元に分類されることがよくあります。

この項では、動作原理に基づいた計器の列挙を紹介するとともに、その動作原理や用途を簡単に紹介します。

それぞれの計器によって、電流計・電圧計・抵抗計・電力計のどれとして用いられるのか、また、直流・交流のどちらの回路で使えるのか(両方の場合もあります)などが異なっています。それらの点に注意しながら、以下を確認してください。

可動コイル形計器

可動コイル形計器は、固定永久磁石の磁界と、可動コイル内の電流による磁界との相互作用によって動作する計器です。生じるトルクは、コイルに流れる電流の平均値に比例します。つまり、指示値は平均値となります。直流電流計直流電圧計として広く普及しています(直流回路のみという点は重要です、交流では使えません)。

可動鉄片形計器

可動鉄片形計器は、磁界中で固定コイル内に電流が流れることによって、固定鉄片と可動鉄片を磁化させ、この2種類の磁化された鉄片が反発しあう力を利用して動作する計器です。

直流回路でしか使えない可動コイル形計器と違って、可動鉄片形計器は直流回路でも交流回路でも使用することができます。このタイプは商用周波数の交流電流計交流電圧計として広く普及しています。

また、指示値は実効値の値を示しますが、多くの計器が実効値で表されるので、一つ一つ覚える必要はないと思います。上記の可動コイル形計器と、次に紹介する整流形計器だけが平均値指示で、あとは全て実効値指示と覚えてください(電験三種の試験で出題される範囲では…という話です。マイナーな計器を含めるとほかにも平均値指示のものがあります)。

整流形計器

整流形計器は、交流の電流または電圧を測定するために、直流で動作する計器と整流器とを組み合わせた計器です。つまり、用途としては可動鉄片形計器と同様に交流電流計交流電圧計になりますが、直流で動作する計器を使って測定しているので、その指示値は平均値となります。また、この計器は感度がよいという特徴があります。

電流カ計形計器

電流カ計形計器は、可動コイル内の電流による磁界と、固定コイル内の電流による磁界との相互作用によって動作する計器です。直流でも交流でも使えて、かつ、電流計にも電圧計にも電力計にもなる、用途の広い計器です。また、指示値は実効値となります。

誘導形計器

誘導形計器は、固定電磁石の交流磁界と、この磁界によって回転円板上に生じる渦電流との相互作用により、回転円板が回転することで動作する計器です。用途は、ほぼ交流の電力量計に限られます。また、指示値は実効値となります。

熱形計器(熱電形計器)

熱形計器(熱電形計器)は、導体内の電流の熱効果を利用して動作する計器です。これは電流計として使われ、直流か交流かは問いません。また、これも指示値は実効値となります。この計器には、高周波電流の測定に向いているという特徴があります。

静電形計器

静電形計器は、固定電極と可動電極との間に生じる静電力の作用で動作する計器です。これは電圧計として使われ、直流か交流かは問いません。また、これも指示値は実効値となります。この計器には、高電圧の測定に向いているという特徴があります。

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