ディジタル計器の特徴

ディジタル計器(ディジタル指示計器)とは、測定値が数字のディジタルで表示される装置のことをいいます。

対になる言葉は、アナログ計器(アナログ指示計器)です。どちらの表示形式でも大きな違いはありませんが、ディジタル計器の場合は測定値が数字で表示されるため、針が指している値(指針値)を読み取るアナログ計器の場合に比べ、読み間違いが少なくなるというメリットがあります。

また、もともとは連続的なアナログ値である電圧などの値をディジタルで表示させるため、ディジタル計器の中でA-D変換(アナログ値をディジタル値に変換すること)の処理を行っています。

たとえばディジタル交流電圧計では、測定入力端子に加えられた交流電圧が、入力変換回路で直流電圧に変換され、さらにA-D変換回路でディジタル信号に変換されるといった処理が行われています(種々の処理方式の中の一例です)。

ディジタル計器用のA-D変換器に用いられる代表的な方式には、二重積分形逐次比較形の2つがあります。これらの詳細なメカニズムまで知っておく必要はないと思いますが、名前くらいは覚えておくとよいかもしれません。

ちなみに、このA-D変換の際に行う処理は、量子化と呼ばれています。アナログ値は連続的な値です。たとえば、針の指針値が100[V]を指しているように見えても、より精確には100.1[V]かもしれませんし、本当は小数点以下、もっと続くはずです(肉眼で判別はできませんが)。

一方、ディジタル値はあらかじめ用意されている桁数しか表示できないので、たとえば整数のみの表示であれば、100[V]の次は101[V]であり、100.1[V]や100.5[V]は存在しないことになります。このような不連続な値を量子数といい、A-D変換では、連続的なアナログ値を最も近いディジタルの値に近似しています。

ディジタル計器の特徴を生かした便利な機能もいくつかあるので、ここで紹介します。

まず、ディジタル計器では測定値をディジタル信号で取り出すので、計器をコンピュータに接続して、測定結果を直接コンピュータに入力できるものがあります。今の時代では当たり前のことに思えるかもしれませんが、アナログ計器だと指針値を人が目視で読むことになるので、このようなことはできません。

続いて、ディジタルマルチメータというものを使えば、スイッチを切り換えることで、電圧、電流、抵抗といった複数の測定値を1台の計器で測ることができます。

また、オートレンジ機能が付いているものであれば、測定可能な範囲(レンジ)を切り換える必要がなく、測定値のおよその値が分からない場合にも気軽に使うことができます。

アナログ計器やオートレンジ機能のないディジタル計器の場合、あらかじめ大体の測定値がわかっていないときは、まず広いレンジで試してみて、それで測定値がどのあたりかを見積もってから、適切なレンジに切り替える必要があります。そのため手間が掛かりますが、オートレンジ機能があれば、そのような必要がなくなるので便利です。

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