前項では電圧計、電流計、電力計の紹介と、回路での接続方法について扱いました。この項では、例題を通して、計器を含む回路の計算問題の解き方を解説します。
例題
下図のような交流回路があり、3つの計器の指示値は図に記入したように、12.5[A]、300[V]、2250[W]でした。この回路における皮相電力S[V・A]と無効電力Q[var]、抵抗R[Ω]、コイルのリアクタンスX[Ω]を求めてください。
解説
求めたいのはS[V・A]、Q[var]、R[Ω]、X[Ω]の4つあるので、この順で考えていきます。
まずは、皮相電力S[V・A]について。これは単位からもわかるように、電流計と電圧計の2つの指示値の積となるので、
と計算することができます。
続いて、無効電力Q[var]について。これは、有効電力Pと皮相電力Sがわかれば、三平方の定理より計算できます。Pは電力計の指示値から2250[W]とわかっていて、Sは先ほど計算で3750[W]と求めたので、Qは、
となります。
次に、抵抗R[Ω]について。抵抗は端子間の電圧と抵抗を流れる電流によって求めることができますが(オームの法則)、今回は抵抗を流れる電流IRがよくわかりません(電流計の先で、抵抗側とリアクタンス側に電流が分岐するため)。
しかし、抵抗で消費する電力(有効電力P)がわかっているので、次に示すように、電力と電圧と抵抗をつなぐ関係式からRを求めることができます。
最後に、コイルのリアクタンスX[Ω]について。これも抵抗Rのときと同様の方法で解くことができます。つまり、リアクタンスを流れる電流ILが何アンペアかわからないのでオームの法則は使えませんが、無効電力Qと端子間電圧Vがわかっているので、Xは次のように計算することができます。
コメント