1相分の等価回路を使った計算例

前項では、三相交流回路のY-Y結線から中性線を使って1相あたりの等価回路を抜き出すやり方を紹介しました。この項では、それを使った計算問題の例題を紹介し、問題の解説を行います。

例題

以下の回路図のように、周波数50[Hz]、電圧200[V]、インダクタンス7.96[mH]のコイル、6[Ω]の抵抗からなる三相交流回路があります。このとき、三相負荷が消費する有効電力P[W]の値を求めてみてください。

解説

まず、問題文の図は電源側がΔ結線、負荷側はY結線となっています。三相回路から1相分の等価回路を抜き出す際には、Y-Y結線にしなくてはいけないので、電源側のΔ結線をY結線に直します。すると、電源電圧は次のように計算することができます。

  • VY:Y結線時の電源電圧[V]
  • VΔ:Δ結線時の電源電圧[V]

よって、1相分の等価回路は以下のように描くことができます。

ここで、コイルのインダクタンスが7.96[mH]なので、そのリアクタンスXL[Ω]は、

と計算することができ、抵抗とリアクタンスを合わせたインピーダンスZ[Ω]は、

と算出できます。よって、この回路を流れる電流I[A]の大きさは次のように計算できます。

電流とインピーダンスがわかれば、この1相分の等価回路の消費電力(有効電力)P1[W]は、

となりますが、問題文で問われているのは三相負荷全体の消費電力(有効電力)Pなので、P1を3倍すればよく、

と計算したこの値が、求めたい最終的な答えとなります。

コメント