同期電動機のV曲線

同期発電機の特性曲線のページにて同期発電機の特性曲線を3つ(無負荷飽和曲線、短絡曲線、外部特性曲線)紹介しました。一方、同期電動機にも重要な特性曲線があり、こちらは1つだけ、V曲線というものです。この項では、V曲線の特徴とグラフの読み方について解説します。

まずはV曲線のグラフを以下に示します。

V曲線は、電圧一定の電源に接続した出力一定の同期電動機に対する、界磁電流と電機子電流の関係を表しています。

界磁電流を徐々に減少(または増加)させると、上図のように電機子電流は初めのうちは下がっていき、途中からは一転して上がります。結果的にV字のような軌跡を描くことから、同期電動機の特性曲線であるこのグラフはV曲線と呼ばれています。

また、同期電動機では、界磁電流を増減することによって入力電力の力率を変えることができます。出力が一定の同期電動機は、界磁電流を減らしていくと(横軸右端から中央に寄せていくと)V曲線に沿って電機子電流が減少していき、力率1のときに電機子電流が最小になります。

そして、界磁電流が大きいとき(グラフの右側)は逆起電力が大きくなるために進み力率となり、反対に界磁電流が小さい(グラフの左側)と遅れ力率となります。

ちなみに、同期電動機の負荷を大きくすると、その分、界磁電流や電機子電流も大きくなります。よって、負荷が大きいと上図のV曲線はV字のままグラフの上側に移動することになります。反対に、小さい負荷のときは、V曲線が下のほうに移動します。

ただし、どのような条件でも力率1のときがそのV曲線において最小の電機子電流の値となり、その力率1の点を集めたものが、上図の点線で示した軌跡です。

つまり、負荷を上げればV曲線は上方向に移動し、負荷を下げればV曲線は下方向に移動することになります。

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