変圧器の三相結線

変圧器の三相結線には、Δ(デルタ)結線Y(スター)結線V(ブイ)結線の3つの種類があります。これらの結線を2つ(または3つ)組み合わせることで、変圧を可能にしています。

2つ(または3つ)の組み合わせには以下の5つがあり、それぞれの特徴を以下で紹介していきます。

  • Δ-Δ結線
  • Y-Y結線 または Y-Y-Δ結線
  • Δ-Y結線
  • Y-Δ結線
  • V-V結線

Δ-Δ結線

Δ-Δ結線の結線図は以下のように描くことができます。一次側(図の上側)も二次側(図の下側)も3点の接点(図の●)があることから、Δ結線であるとわかります(Y結線なら接点が1つのみ)。

変圧器鉄心の磁気飽和現象やヒステリシス現象は、励磁電流高調波の発生要因となります。これが原因で相電圧波形がひずみ、近くの通信線に雑音などの障害を与えることがあるため、この励磁電流高調波は不都合な存在です。

しかし、変圧器にΔ結線を使っている場合には、励磁電流の第3次高調波が巻線内を循環電流として流れるため、外部へ出なくなり、上記のような通信線への障害が起こりにくくなります。ちなみに、これは一次側または二次側のどちらかにΔ結線があれば良いので、下記のΔ-Y結線やY-Δ結線にもいえることです。

一方、Δ-Δ結線のデメリットとしては、Y結線がないために中性点接地ができず、地絡保護が不十分であることが挙げられます。

また、結線の組み合わせによっては一次電圧に対して二次電圧の位相がずれることがありますが、Δ-Δ結線は同じ結線を用いているので、一次電圧と二次電圧は同相となります。

Y-Y結線(Y-Y-Δ結線)

Y-Y結線の結線図は以下のように描くことができます。一次側(図の上側)も二次側(図の下側)も接点(図の●)が1つであることから、Y結線であるとわかります。

Y-Y結線の変圧器は、第3次高調波の流れる回路がないため相電圧波形がひずみ、近くの通信線に雑音などの障害を与えます。よって、Y-Y結線が実用として使われることは滅多にありません。

しかし、この結線方法は中性点接地による保護がしやすいので、このメリットを活かしたまま第3次高調波の問題に対応するため、二次側のあとにさらに三次巻線をしてΔ結線を設けて、Y-Y-Δ結線とすることで、実用化しています。

また、Y-Y結線もΔ-Δ結線と同様、一次電圧と二次電圧は同相です。

Δ-Y結線

Δ-Y結線の結線図は以下の通りです。

この結線方法は、第3次高調波対策となるΔ結線と、中性点接地による保護が可能なY結線を併せ持つ、使いやすい結線方法です。

ただし、異なる種類の結線をつないでいるため、一次電圧に対する二次電圧の位相差(これを角変位または位相変位といいます)が30°進みとなります。

Y-Δ結線

Y-Δ結線の結線図は以下の通りです。

この結線方法もΔ-Y結線と同様、第3次高調波対策となるΔ結線と、中性点接地による保護が可能なY結線を併せ持っています。

また、Y-Δ結線はΔ-Y結線とは反対に、角変位(位相変位)が30°遅れとなります。

V-V結線

V-V結線の結線図は以下の通りです。

V結線は単相変圧器が2台で作れるので、Δ結線やY結線のように3台も必要ないというのがこの結線方法のメリットとなります。ただし、このようなメリットがあっても、V結線は出力が少ないので、Δ結線やY結線のほうが採用されることが多いです。

ちなみに、V-V結線もΔ-Δ結線やY-Y結線と同様、一次電圧と二次電圧は同相です。

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