巻数比と変圧比

変圧器とは

変圧器とは、名前の通り電圧を変化(上げたり下げたり)させるための装置です。その構造は以下の図のようになっています。

変圧器は上図の通り、鉄心を中心として、一次巻線と二次巻線を向かい合わせにして巻いています。一次側は入力側なので一次巻線を交流電源とつなぎ、二次側は出力側なので二次巻線を負荷とつなぎます。

このとき、一次巻線と二次巻線の巻数の違いで、一次側と二次側の電圧差を生むことができます。

巻数比、変圧比、電流比の関係

一次側の電源を入れると一次巻線に電流が流れますが、そうすると鉄心の中の磁束が変化します。磁束が変化するとそれを打ち消そうとする電圧が発生しますが、この電圧を誘導起電力といいます。このとき、巻数が多ければ多いほど磁束の変化も大きいため、ひいては誘導起電力も大きくなります。

また、一次側の磁束の変化を受けて二次側の磁束も変化し、二次側でも誘導起電力が生じますが、これは二次巻線の巻数に比例します。よって、変圧比(一次側と二次側の誘導起電力の比)は、巻数比(一次側と二次側の巻数の比)と一致します。

さらに、変圧器は一次側と二次側で電力が変わるわけではなく、あくまでも電圧の上げ下げを行うだけです。電力一定の条件下で変圧器によって電圧を上げるということは、二次側の電流を下げるということになりますし、逆に変圧器によって電圧を下げようとするなら、二次側の電流を上げることになります。

つまり、変圧比と、変流比(一次巻線と二次巻線に流れる電流の比)とは逆数の関係になります。

以上をまとめると、巻数比、変圧比、変流比の関係は次の通りです。

  • α:巻数比
  • N1:一次側の巻数 [回]
  • N2:二次側の巻数 [回]
  • E1:一次側の誘導起電力 [V]
  • E2:二次側の誘導起電力 [V]
  • I1:一次巻線に流れる電流 [A]
  • I2:二次巻線に流れる電流 [A]

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