3つのパワー半導体デバイス(整流ダイオード、サイリスタ、パワートランジスタ)のうち、この項ではサイリスタについて解説していきます。
サイリスタは、回路図の中で次の記号によって表されます。
前項で扱った整流ダイオードに似ていますが、サイリスタではアノード、カソードのほかにゲートという3つ目の端子があります。その構造は、pnpn(pはp形半導体、nはn形半導体)の4層からなり、最初のp層がアノード、3段目のp層がゲート、4段目のn層がカソードになります。
整流ダイオードでは電流の向きを固定できるだけでしたが、サイリスタではターンオンやターンオフの制御が可能です。
ターンオン(点弧ともいいます)というのは、電流が流れていないオフ状態から通電しているオン状態に移行させることです。ターンオフ(消弧ともいいます)は反対に、オン状態からオフ状態に移行させることを指します。
サイリスタにはいくつかの種類があり、代表的なものに逆阻止三端子サイリスタ、光トリガサイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)などがあります。
逆阻止三端子サイリスタ
逆阻止三端子サイリスタは最も一般的なサイリスタで、ターンオンのみ制御することのできるデバイスです。
光トリガサイリスタ
光トリガサイリスタは、電気信号ではなく光照射によってターンオン制御を行うサイリスタのことです。逆阻止三端子サイリスタと同様、ターンオン制御はできますが、ターンオフ制御には対応していません。
ゲートターンオフサイリスタ
ゲートターンオフサイリスタ(GTO、Gate Turn-Off)は、ターンオンとターンオフの両方の制御が可能です。これは、ゲートに逆方向の電流を流すことでターンオフを可能としており、サイリスタの中では唯一の自己消弧デバイスです。
自己消弧デバイスというのは、ターンオンとターンオフの両方の制御が行えるデバイスのことを指す言葉です(ちなみに、次項で扱うパワートランジスタの中にはこれと同様、自己消弧デバイスのものがあります)。
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