白熱電球、ハロゲンサイクル

照明器具には様々な種類があり、それらは原理も違えば特徴(長所・短所)も異なります。このページでは、照明器具のうち重要度の高い「白熱電球」「ハロゲン電球」を扱い、次のページでは、やはり重要な「蛍光ランプ」「LED電球」を、その次のページでやや重要度の低いその他の照明器具を説明していきます。

白熱電球、ハロゲン電球

白熱電球とは、フィラメントに電流を流して高温白熱させて、その熱放射が光として現れることを利用した電球です。

フィラメントには多くの場合、タングステンが用いられます。それは、電気抵抗が大きい(発熱しやすい)ことや、融点が高いこと、加工しやすいことなどが理由になっています。

白熱電球には、電球の中に封入するガスの種類によって、アルゴン電球、ハロゲン電球、クリプトン電球などの分類があります。これらのガスの役割は、フィラメントの酸化焼損を防ぐことです。しかし一方で、フィラメントの熱を外部へと逃がす媒体にもなってしまいます。

白熱電球は安価ですが、基本的には効率が悪く寿命も短いといわれています。その原因は、タングステンが熱で昇華し、フィラメントを痛めたり、電球の内壁を黒化させたりするためです。

けれど、その中でもハロゲンランプだけは、「ハロゲンサイクル」(詳解は後述)によって、高効率・長寿命を実現しています。

ハロゲンサイクル

タングステンはもともとは固体の金属ですが、高温になると昇華して気体となります。そして気体となったタングステンはフィラメントを離れ、電球の内壁で冷やされ、再び固体に戻ります。このようにして電球の内壁にタングステンがこびりつくことを黒化と呼び、これが明るさ低下の原因になります。この黒化を防ぐために開発されたのが、ハロゲン電球です。

タングステンが気体となったのち、管内がハロゲンで満たされていると、タングステンはハロゲンと結合し、ハロゲン化タングステンになります。このハロゲン化タングステンは蒸気圧が高いので、簡単に蒸発し、再びフィラメント部に移動することができます。

フィラメント部は高熱になっているので、ハロゲン化タングステンが熱によって分解され、単体のタングステンに戻ります。このような流れにより黒化を抑えることができ、この一連の流れをハロゲンサイクルと呼んでいます。

これにより、普通の白熱電球に比べて50%程度明るく、数倍もの長寿命化を実現しています。

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