電験三種 H30年 理論 問11 問題と解説

 問 題     

半導体素子に関する記述として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. pn接合ダイオードは、それに順電圧を加えると電子が素子中をアノードからカソードへ移動する2端子素子である。
  2. LEDは、pn接合領域に逆電圧を加えたときに発光する素子である。
  3. MOSFETは、ゲートに加える電圧によってドレーン電流を制御できる電圧制御形の素子である。
  4. 可変容量ダイオード(バリキャップ)は、加えた逆電圧の値が大きくなるとその静電容量も大きくなる2端子素子である。
  5. サイリスタは、p形半導体とn形半導体の4層構造からなる4端子素子である。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

(1)に関して、アノードは陽極、カソードは陰極のことです。電流は必ず陽極から陰極に向かって流れるので、アノードからカソードに流れることになります。ただし、これは「電流」の話であることに注意してください。

(1)では「電流」ではなく「電子」と書かれています。電流と電子の向きは全く反対なので、(1)の記述は誤りです。この文章を正しく書き換えるなら、「アノード」と「カソード」を入れ替える必要があります。

(2)に関して、LEDの原理は、LED(発光ダイオード)に順電圧を印加し(順電流を流し)、LEDのpn接合部において電子とホールの再結合を起こすことで光を発生させるというものです。よって、「逆電圧」が誤りで、正しくは「順電圧」となります。

(3)は記述の通りです。MOSFETを使えば電流の増幅とオン・オフ制御が行えます。

(4)について、可変容量ダイオードは、空乏層の静電容量が逆電圧によって変化する性質を利用したダイオードです。逆電圧の大きさを小さくしていくと静電容量は大きくなり、反対に、逆電圧の大きさを大きくしていくと静電容量は小さくなります。よって、(4)の記述は誤りです。

(5)で、サイリスタは、pnpn(pはp形半導体、nはn形半導体)の4層で構成され、最初のp層がアノード、3段目のp層がゲート、4段目のn層がカソードになります。つまり、端子はアノード、カソード、ゲートの3つなので、(5)の「4端子素子」の部分が誤りです。

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