電験三種 H30年 機械 問15 問題と解説

 問 題     

無負荷で一次電圧6600V、二次電圧200Vの単相変圧器がある。一次巻線抵抗r1=0.6Ω、一次巻線漏れリアクタンスx1=3Ω、二次巻線抵抗r2=0.5mΩ、二次巻線漏れリアクタンスx2=3mΩである。

計算に当たっては、二次側の諸量を一次側に換算した簡易等価回路を用い、励磁回路は無視するものとして、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) この変圧器の一次側に換算したインピーダンスの大きさ[Ω]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 1.15
  2. 3.60
  3. 6.27
  4. 6.37
  5. 7.40

(b) この変圧器の二次側を200Vに保ち、容量200kV・A、力率0.8(遅れ)の負荷を接続した。このときの一次電圧の値[V]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 6600
  2. 6700
  3. 6740
  4. 6800
  5. 6840

 

 

 

 

 

正解 (a)-(4), (b)-(3)

 解 説    

(a)

単相変圧器の二次側の諸量を一次側に換算した簡易等価回路は以下のように描くことができます。この手の問題はたびたび出題されているので、問題文に図がなくても描けるようにしておく必要があります。

  • V1、V2:一次電圧、二次電圧[V]
  • E1、E2:一次側、二次側の誘導起電力[V]
  • I1、I2:一次電流、二次電流[A]
  • r1、r2:一次巻線、二次巻線の抵抗[Ω]
  • x1、x2:一次巻線、二次巻線の漏れリアクタンス[Ω]
  • Z1、Z2:一次巻線、二次巻線のインピーダンス[Ω]
  • ZL:負荷インピーダンス[Ω]
  • α:巻数比(N1/N2)

今回は無負荷なので、ZLについては考えなくてよいです。

上図より、インピーダンスZは次の式で表すことができます。

また、巻線比については、上図中央に青字で書いてある通り、一次側、二次側の誘導起電力の比から求めることができます。そして今回の条件では無負荷なので、一次側、二次側の誘導起電力の値は一次電圧、二次電圧の値をそのまま使うことができます。

よって、インピーダンスZの大きさは以下のように計算することができます。

以上から、正解は(4)です。

(b)

(a)の解説のところで示した等価回路を再び以下に記載します(全く同じものです)。これを見ながら以下の解説を確認してください。

上図において、負荷容量Pは200[kV・A]であり、負荷の端子電圧V2は200[V]、負荷を流れる電流はI1=I2/α[A]、αは(a)の計算結果より33なので、負荷を流れる電流I1は以下のように計算することができます。

よって、上図の等価回路をさらに簡略化して描くと、以下のように表すことができます。

抵抗やリアクタンスのところに書いてある1.1445や6.267については(a)の計算途中の数値から引用しています(改めて計算しても構いませんが…)。

また、抵抗とリアクタンスが両方あるときの電線の電圧降下Vdは以下の式を使って計算できます。

そして、cosθ=0.8のとき、次のように計算すればsinθ=0.6をわかります。

以上から、一次電圧V1は次のように計算することができます。

よって、正解は(3)となります。

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