電験三種 H30年 機械 問7 問題と解説

 問 題     

次の文章は、ステッピングモータに関する記述である。

ステッピングモータはパルスモータとも呼ばれ、駆動回路に与えられた( ア )に比例する( イ )だけ回転するものである。したがって、このモータはパルスを周期的に与えたとき、そのパルスの( ウ )に比例する回転速度で回転し、入力パルスを停止すれば回転子も停止する。

ステッピングモータはパルスが送られるたびに定められた角度[°]を1ステップとして回転する。この1パルス当たりの回転角度を( エ )という。

ステッピングモータには、永久磁石形、可変リラクタンス形、ハイブリッド形などがあり、永久磁石形ステッピングモータでは、無通電状態でも回転子位置を( オ )が働く特徴がある。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

    (ア)    (イ)    (ウ)    (エ)    (オ)

  1. 周波数   回転角度  幅    ステップ角  追従する力
  2. 周波数   回転速度  幅    移動角    追従する力
  3. パルス数  回転速度  周波数  移動角    保持する力
  4. パルス数  回転角度  幅    ステップ角  追従する力
  5. パルス数  回転角度  周波数  ステップ角  保持する力

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

この問題は知識問題な上に、あまり頻出ではないテーマなので、馴染みがない人も多いかもしれません。しかし、だからといって簡単に捨て問題扱いするのではなく、ある程度考えを巡らせることで、正解に近づけることが可能です。

( ア )についてはステッピングモータの別名がパルスモータであるという問題文が大きなヒントになっています。つまり、ここには「パルス数」が入ります。

パルスの語源は「脈拍」ですが、パルスとはごく短時間だけ流す電流のことで、これが信号の役割を果たします。つまり、一瞬だけ電流を流すのを繰り返すことで、脈拍のように一定のリズムで信号を打つといった感じです。

言うならば、心拍数にあたるものがパルス数ということになります。

( イ )について、先ほどの繰り返しになりますが、パルス数というのは信号の回数のことです。この信号が1回カチっとオンになったらモータがちょっとだけ回転し、また次の信号がカチっとなれば再びモータがちょっと回転する…というのがステッピングモータの仕組みです。

カチッカチッ…っとステップを踏むように断続的に回転することから、ステッピングモータという名前が付いています。

…ということは、( イ )には回転した距離に相当する「回転角度」を入れるのが適切であると判断できます。

また、試験のテクニック的な話をすると、( ウ )を含む文章に「( ウ )に比例する回転速度」とあるので、「( ア )に比例する( イ )」というところには「回転速度」が入ることはありません。

なぜなら、もし( イ )が回転速度であるなら、上記の文章を2つに分ける意味はなく、「( ア )と( ウ )にそれぞれ比例する回転速度」のようにまとめて書かれるはずだからです。

少し脱線しましたが、続いて( ウ )について考えます。

今までの話から、たとえばパルス信号が1回送られると、1°回転するといった感じになることがわかったと思います(この1°という数字は適当です)。よって、一定時間あたりのパルス数(=周波数)が多ければ多いほど、一定時間あたりの回転角度(=回転速度)が大きくなることがわかります。

よって、( ウ )には「周波数」が入ります。

また、( エ )は完全に知識問題ですが、1パルスあたりの回転角度は、1ステップあたりの回転角度といった意味合いから、「ステップ角」と呼ばれます。

( オ )について、永久磁石を使うことによって、無通電状態でもモータの固定子と回転子とが磁石によってくっつくようにできます。こうすることによって、モータを停止させているときに機械的なブレーキを必要とせず、回転子位置を保持しておくことができます。

よって、( オ )には「保持する力」が入ります。

以上から、正解は(5)です。

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