電験三種 H30年 法規 問9 問題と解説

 問 題     

次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における分散型電源の高圧連系時の系統連系用保護装置に関する記述の一部である。

高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、次のa~cにより、異常時に分散型電源を自動的に解列するための装置を設置すること。

  1. 次に掲げる異常を保護リレー等により検出し、分散型電源を自動的に解列すること。
    • (a) 分散型電源の異常又は故障
    • (b) 連系している電力系統の短絡事故又は地絡事故
    • (c) 分散型電源の( ア )
  2. 一般送配電事業者が運用する電力系統において( イ )が行われる場合は、当該( イ )時に、分散型電源が当該電力系統から解列されていること。
  3. 分散型電源の解列は、次によること。
    • (a) 次のいずれかで解列すること。
      1. 受電用遮断器
      2. 分散型電源の出力端に設置する遮断器又はこれと同等の機能を有する装置
      3. 分散型電源の( ウ )用遮断器
      4. 母線連絡用遮断器
    • (b) 複数の相に保護リレーを設置する場合は、いずれかの相で異常を検出した場合に解列すること。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)      (イ)    (ウ)

  1. 単独運転  系統切り替え  連絡
  2. 過出力   再閉路     保護
  3. 単独運転  系統切り替え  保護
  4. 過出力   系統切り替え  連絡
  5. 単独運転  再閉路     連絡

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

問題文に該当するのは、「電気設備技術基準の解釈」第229条(高圧連系時の系統連系用保護装置)です。

( ア )の前に分散型電源の説明をしておきます。送配電事業者から供給されるのとは別に小規模の発電設備を設置するとき、この2つ目(またはそれ以上)の電源のことを分散型電源といいます。たとえば小規模の太陽光発電設備は、まさに分散型電源の代表例といえます。

ここで、事故や保守のために送配電事業者からくる系統を一時的に遮断したとします。この際、系統を切り離したのだから電気は流れていないはずだと思っても、分散型電源が普通に動いていたら、こちらから電気が供給されてしまいます。

もし事故のために送配電事業者からの系統を遮断したのであっても、分散型電源から供給される電気によって事故を収めることができず、被害が拡大してしまいます。また、保守のために送配電事業者からの系統を遮断したのであれば、作業員は電気が流れていないと思って作業に入った結果、感電を起こしてしまいます。

このように、本来の系統は切り離されているのに分散型電源だけが運転している状態のことを、「単独運転」といい、これは非常に危険であるため、避けなければいけません。

よって、( ア )には「単独運転」が入ります。

( イ )について、送配電事業者からくるメインの系統を再閉路するときに分散型電源が動いている場合、うまく同期できなくて両者の電圧に位相差が生じると、負荷や分散型電源に損傷を及ぼすおそれがあります。そうならないように、分散型電源は系統から切り離しておいて、先にメインの系統をつなぐ(再閉路する)ことが重要です。

よって、( イ )には「再閉路」が入ります。

( ウ )は知識問題になりますが、ここには「連絡」が入ります。

これはややマイナーな知識ですが、( ア )と( イ )を正確に答えられれば選択肢を1つに絞れるので、必ずしも押さえておくべき知識ではないと思います。

以上から、正解は(5)となります。

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